研究領域 | 新光合成:光エネルギー変換システムの再最適化 |
研究課題/領域番号 |
19H04712
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
泉 正範 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (80714956)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 葉緑体 / 光阻害 / プロトン駆動力 / クロロファジー / オートファジー |
研究実績の概要 |
葉緑体内部で生じる光阻害が、細胞質のオートファジーマシーナリーを誘導するシグナル系と、その過程におけるプロトン駆動力のふるまいを調査する本研究において、H31-R1年度は、以下3項目の解析を行いそれぞれ以下に示す進展が得られた。 【1】膨張葉緑体のプロトン駆動力測定:クロロファジーの過程では、光阻害処理後に膨張葉緑体が生じ、それらが選択的に除去される。その際に葉緑体に起こる光阻害の質とプロトン駆動力への影響を、モデル植物シロイヌナズナの個葉レベルで評価した。そのための解析機器Dual PAMを用いた評価の結果、葉緑体の光化学系IIの光阻害がクロロファジーの主な誘導シグナルとなることが示された。 【2】膨張葉緑体の活性酸素蓄積評価:活性酸素の蛍光染色により、膨張葉緑体では光化学系IIに主に由来する一重項酸素が検出された。よって光化学系IIの光阻害、一重項酸素の発生、という葉緑体オートファジー誘導の初期シグナルの存在が強く示唆された。また他の活性酸素を検出するための葉緑体局在蛍光タンパク質発現系統を作出した。 【3】包膜を介した浸透圧ポテンシャルと葉緑体膨張の関係評価:包膜障害がストロマ⇔細胞質間の浸透圧ポテンシャルの異常を引き起こすか、この異常がクロロファジー誘導の直接のシグナルとなるかを、関連する変異株を用いて評価するため、クロロファジーを定量評価するための各種蛍光タンパク質マーカーを発現する変異株系統を一通り作出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に項目1、2の解析から、葉緑体の光阻害がオートファジーを誘導する初期シグナルを見出すことができた。その下流を調べる項目3を遂行するための実験材料の整備も一通り終えており、今後の解析も継続して行える状況にあるため、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画はおおむね順調に進展しており、大きな変更なく順次解析を進めていく。また、それらの遂行にあたっては、当該新学術領域内の共同研究を開始しており、今後もその連携を最大限活用することで計画をさらに推進していく。
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