研究実績の概要 |
1.緑色イオウ細菌のRieske/cyt b型シトクロム複合体の可溶化・精製の検討:これまでの研究経過から、Rieske/cyt b型シトクロム複合体の可溶化・精製のAssay方法として、His-b株を用いることでHis抗体を用いたWestern Blottingによる検出と酸化還元差スペクトルによる検出を組み合わせる事が非常に有効であることを示すことができた。このAssay方法確立により、可溶化画分では、Western Blottingによるcyt bの存在が確認されたが、酸化還元差スペクトルから補因子であるヘムbが外れたアポタンパクであることが示唆された。これにより、ヘムbが酸素に対して不安定である可能性が強く推測されるに至った。そこで嫌気条件下での可溶化・精製を試みるたところ、ヘムbを保持したホロタンパクの画分が回収されるようになり、最終年度(2020年度)の研究進展に向けて大きく前進した。 2.電子伝達タンパク質の分子間相互作用のNMR解析:緑色イオウ細菌由来の15N-Rieske-sol(Rieske ISPの可溶性ドメイン)と14N-cyt c-556を準備し、電子伝達反応にともなう複合体形成をNMRスペクトルのケミカルシフトにより確認した。さらに二重標識した13C, 15N-Rieske-solの大量発現・精製を行い、シグナルの帰属を進めた。その結果、[2Fe-2S]クラスター近傍のL55, V56, H57, W58, A66が相互作用部位であることが明らかとなった。 3.ヘリオバクテリアのcyt b6cc型シトクロム複合体: サブユニットの一つであるdi-heme型cyt ccの大量発現・精製を行い、結晶化およびX線結晶構造解析に取り組んだ。立体構造比較から、モノヘム型のcyt cから遺伝子重複によりdi-heme型cyt ccに進化してきたことが推測された。
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