公募研究
集光性色素タンパク質(LHC)は、光エネルギーを捕集し、光化学系タンパク質(PSI、PSII)へと伝達する重要な役割を担う。LHCは光合成生物種間で多様であり、タンパク質構造の違いに加え、色素分子の種類や数の違いも見出されている。LHCの多様性は、光合成生物の見た目の色の違いをもたらし、励起エネルギー伝達機構の違いを担う。本研究では褐色を呈する珪藻を材料とし、珪藻の特殊なLHCであるフコキサンチンクロロフィルタンパク質(FCP)の機能構造解明を目指す。クライオ電子顕微鏡単粒子解析により、珪藻のPSI-FCPI超複合体の立体構造を解明した。その結果、PSIには遺伝子の異なる16個のFCPが結合していることを見出した。陸上植物のPSIには4個のLHCが結合しているため、珪藻と陸上植物とでPSIのアンテナサイズが大きく異なることを明らかにした。この結果を論文として纏めた。培養条件の変化がFCPの発現に及ぼす影響を調べた結果、温度および二酸化炭素濃度を変化させることにより、FCPの発現調節が変化することを見出した。特に、30度、3%CO2の培養条件において、新規のFCPが発現した。この結果を論文として纏めた。強光照射した珪藻からFCPを調製し、励起エネルギーダイナミクスを調べた。強光により、状態の異なるFCPが発現し、励起エネルギー消光を誘導することが判明した。光合成生物は光の強さを感じると光阻害を起こす。光阻害が進行することによりチラコイド膜のルーメン側が酸性化される。強光およびpH変化によってFCPの状態が変わり、励起エネルギーダイナミクスの変化が生じたのであろう。この結果を論文として纏めた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics
巻: 1862 ページ: 148306~148306
10.1016/j.bbabio.2020.148306
巻: 1862 ページ: 148327~148327
10.1016/j.bbabio.2020.148327
巻: 1862 ページ: 148350~148350
10.1016/j.bbabio.2020.148350
Communications Biology
巻: 3 ページ: 232~232
10.1038/s42003-020-0949-6
Nature Communications
巻: 11 ページ: 2481~2481
10.1038/s41467-020-16324-3
The Journal of Physical Chemistry B
巻: 124 ページ: 4919~4923
10.1021/acs.jpcb.0c04231
Photosynthesis Research
巻: 146 ページ: 87~93
10.1007/s11120-020-00713-2
巻: 146 ページ: 143~150
10.1007/s11120-020-00720-3
巻: 146 ページ: 189~195
10.1007/s11120-020-00729-8
巻: 146 ページ: 227~234
10.1007/s11120-020-00714-1
https://ryoagan.wixsite.com/nagaoryo