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2019 年度 実績報告書

光合成依存の葉緑体運動の分子機構解明

公募研究

研究領域新光合成:光エネルギー変換システムの再最適化
研究課題/領域番号 19H04729
研究機関九州大学

研究代表者

後藤 栄治  九州大学, 農学研究院, 助教 (90614256)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード葉緑体運動 / 光合成
研究実績の概要

光合成の場である葉緑体は、光合成効率の最適化のために周囲の光環境に応じて細胞内の局在を変える(葉緑体光定位運動)。葉緑体光定位運動は、青色光受容体であるフォトトロピンによって誘導される。最近申請者は、野外の様々な自然環境下で生育する120種以上の植物種の解析により、新規の細胞内葉緑体局在パターンを見出した。この解析結果から、フォトトロピンが誘導する反応(以下、フォトトロピン依存の葉緑体運動と記す)とは独立に、光合成依存的に誘導される葉緑体局在反応(以下、光合成依存の葉緑体運動と記す)があることを発見した。しかし、光合成依存の葉緑体運動のメカニズムについては全く知見がないため、本研究ではこの分子機構の解明を目的とし、光合成反応によるシグナル発信から葉緑体運動に至るまでのシグナル伝達機構について研究を行ってきた。光合成反応によるシグナル発信から葉緑体運動が駆動される際のシグナル源を同定するために、光合成産物のなかで局在変化に関与するものがあるかを調べた。有機化合物や糖などの濃度勾配をつけた培地を用いて葉緑体運動の観察を行ったが、調べた限り光合成依存の葉緑体運動に関するものはなかった。光合成依存の葉緑体運動に関与する因子を、変異体スクリーニングにより順遺伝学的に同定するために、フォトトロピン欠損変異株に突然変異を誘起した変異集団から、光合成依存の葉緑体局在に異常を示す変異株を2系統単離できた。来年度、原因遺伝子を同定する予定である。さらに、フォトトロピン依存の葉緑体運動を制御する因子が光合成依存の葉緑体運動にも関与するかを調べるた結果、フォトトロピン依存の葉緑体運動と光合成依存の葉緑体運動に共通して関与する因子が1つだけあったため、因子がどのように関与するか来年度詳細に調べていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、順遺伝学的解析により候補変異株がえられている。また、フォトトロピン依存の葉緑体運動と光合成依存の葉緑体運動に共通して関与する因子を見出すことができた。

今後の研究の推進方策

スクリーニングで単離された変異株の原因遺伝子の同定を行い、順遺伝学的手法により、光合成依存の葉緑体運動に関与する因子を明らかにする。さらに、フォトトロピン依存の葉緑体運動と光合成依存の葉緑体運動に共通して関与する因子の機能解析を通して、光合成依存の葉緑体運動とフォトトロピン依存の葉緑体運動のクロストークについても明らかにしていく。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] University of Glasgow(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Glasgow
  • [雑誌論文] Phototropin 2 contributes to the chloroplast avoidance response at the chloroplast-plasma membrane interface2020

    • 著者名/発表者名
      Ishishita Kazuhiro、Higa Takeshi、Tanaka Hidekazu、Inoue Shin-ichiro、Chung Aeri、Ushijima Tomokazu、Matsushita Tomonao、Kinoshita Toshinori、Nakai Masato、Wada Masamitsu、Suetsugu Noriyuki、Gotoh Eiji
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: In press ページ: pp:000059

    • DOI

      https://doi.org/10.1104/pp.20.00059

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of Photosynthetic Carbohydrate Metabolism by a Raf-Like Kinase in the Liverwort Marchantia polymorpha2019

    • 著者名/発表者名
      Koide Eri、Suetsugu Noriyuki、Iwano Megumi、Gotoh Eiji、Nomura Yuko、Stolze Sara Christina、Nakagami Hirofumi、Kohchi Takayuki、Nishihama Ryuichi
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 61 ページ: 631~643

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/pcp/pcz232

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] A novel regulation in chloroplast movements2020

    • 著者名/発表者名
      後藤栄治
    • 学会等名
      日本植物生理学会
  • [学会発表] 林床植物の光環境適応戦略2019

    • 著者名/発表者名
      後藤栄治
    • 学会等名
      三学会福岡例会
    • 招待講演
  • [学会発表] Chloroplast movement regulates trade-off between light harvesting and photoprotection under a fluctuating light environment2019

    • 著者名/発表者名
      Eiji Gotoh, Noriyuki Suetsugu, Wataru Yamori, Masamitsu Wada
    • 学会等名
      1st Japan-US Binational Seminar
    • 国際学会
  • [学会発表] 葉緑体光定位運動では光のシグナルより炭酸ガス濃度が優先される2019

    • 著者名/発表者名
      鄭愛梨、瀬戸口浩彰、和田正三、後藤栄治
    • 学会等名
      日本植物学会
  • [学会発表] Chloroplast outer membrane-localized phototropin induces the chloroplast avoidance response2019

    • 著者名/発表者名
      Eiji Gotoh, Kazuhiro Ishishita, Takeshi Higa, Shin’ichiro Inoue, Noriyuki Suetsugu, Masamitsu Wada
    • 学会等名
      18TH INTERNATIONAL WORKSHOP ON PLANT MEMBRANE BIOLOGY
    • 国際学会
  • [備考] 研究グループのホームページ

    • URL

      https://gotohlab2019.wixsite.com/mysite

  • [備考] 大学が作成している研究者情報

    • URL

      https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004658/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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