研究領域 | スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御 |
研究課題/領域番号 |
19H04754
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大橋 俊孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50194262)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ペリニューロナルネット / リンクプロテイン / プロテオグリカン / 刈込み |
研究実績の概要 |
ペリニューロナルネット(PNN)はパルブアルブミン陽性のGABA作動性介在ニューロン(PVI)などに最も顕著に存在する特殊な細胞外マトリックス(ECM)構造である。我々は、ペリニューロナルなECM構造の安定化に重要な複数のリンクプロテイン分子(HAPLN)に注目し、それらの遺伝子ノックアウトマウス等を駆使して、HAPLNがPNNの高密度な会合体形成を通じて、神経可塑性の制御やその他の神経活動に重要なことを示すことを目的としている。本研究は、小脳や脳幹部(聴覚系神経核)に焦点を絞り、PNNの会合体形成を傷害する(PNNスクラップ)手法によりPNN機能(動作原理)を追求するものである。 初年度に、台形体核神経細胞のcalyx of Heldシナプスが複数入力することを電気生理学と形態学的手法により明らかにした。複数入力が認められるシナプスにおいて自発的EPSCやシナプス短期可塑性の測定、発生に伴うシナプス後細胞のグルタミン酸受容体のサブタイプ変化を調べたが今のところコントロールマウスと統計的な有意差は認められていない。KOマウスで、シナプスのプレとポストのpair recordingで高頻度刺激に対する活動電位発生能力の追随性が低下することが発見され、さらに詳細に複数入力との関係を解析中である。 CalyxのシナプスのPNNに異なったプロテオグリカンとHAPLNの組み合わせの会合体が存在することを見出だしており、両分子間のアフィニティーの違いを計測するシステムを準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調であるが、このところ海外共同研究の部分で新型コロナ流行の影響を受けており、今後の進捗の遅れが心配される。
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今後の研究の推進方策 |
Calyx of Heldシナプスの電気生理・形態学解析のデータをまとめ、プロテオグリカン・HAPLN分子間結合の解析に注力したい。
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