研究領域 | スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御 |
研究課題/領域番号 |
19H04756
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田川 義晃 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50303813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大脳 / 脳梁 / 神経活動 / 神経軸索 / イメージング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大脳の長距離神経回路である脳梁神経回路をモデルに、(1)正常の軸索発達過程と神経活動操作に伴う軸索分枝ダイナミクスを明らかにすること(2)より大規模な同側/反対側投射の軸索刈り込みの可能性を検証すること、である。方法として、生後初期のマウス大脳のin vivoイメージングの手法、時期特異的神経活動操作技術、in vivoイメージング後の脳の固定・透明化による広域イメージングの手法を確立して用いる。本年は(1)を中心に研究を進めた。マウスの大脳において脳梁軸索発達が神経活動依存的に進む生後9日から15日に、子宮内電気穿孔法で発現させた蛍光タンパク質によって可視化した脳梁軸索をin vivoイメージングする技術を確立して、実験を進めた。この時期の脳梁軸索が、軸索分枝の伸長と縮退を繰り返しながら成長することが観察できており、どの枝が伸長し、どの枝が縮退するのか、そのルールを明らかにする実験を進めている。時期特異的な神経活動操作の実験系は確立できており、正常発達で観察される軸索分枝の伸長・縮退のルールが、神経活動操作時にどのように変化するかを明らかにする実験も進めている。また、in vivoイメージング後の脳を固定・透明化して、脳梁軸索の投射を、投射先から細胞体のある反対側までトレースし、脳梁投射細胞の細胞体の位置と投射先の位置の関係を検証する実験系を確立した。マウス大脳体性感覚野において、バレルの位置を指標に、脳梁投射細胞の細胞体の位置と反対側皮質での軸索投射先の位置の関係を明らかにする実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
幼弱期のマウス大脳のin vivoイメージング実験は技術的に難しく、また、脳梁軸索が分枝の伸長と縮退を繰り返しながら成長することは観察できているが、どの枝が伸長し、どの枝が縮退するのか、そのルールはかなり複雑であり、慎重に実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
大脳局所のどの領域に進入した軸索分枝は伸長し、どの枝は縮退するかを判定する指標を導入し、軸索分枝の伸長.縮退のルールを明らかにすることをめざす。神経活動操作技術と組み合わせて、神経活動依存的な軸索分枝成長のメカニズムを明らかにする。さらに、in vivoイメージング実験後に脳を固定・透明化して、より広域の軸索投射のイメージングをすることで、研究目的(2)のより広域の軸索刈り込み(再編)の可能性を検証する。
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