研究実績の概要 |
大脳皮質発生において、放射状と接線方向への細胞移動を制御する分子機構の解明を目指す。起源も機能も異なる未分化ニューロン群が、自律的な「発生時計」や皮質「場」とのどのような連携機構を用いることにより、移動を制御するのかを明らかにする。移動様式と連携したダイナミック発現パターンをみせるFoxG1転写因子に着目する。これまでの申請者の研究成果などから、移動中の未分化ニューロンではFoxG1因子の発現が放射状方向では「オン」接線方向では「オフ」となることが、起源も機能も異なるピラミダル細胞、インターニューロン、およびカハール・レチウス細胞で共有されていることが明らかにされている。また、移動様式と連動したFoxG1因子のダイナミックな発現変化が皮質回路形成に必須であることを、ピラミダル細胞の移動および分化(Miyoshi and Fishell, 2012 Neuron)で明らかにしてきた。FoxG1因子「量」の重要性は、遺伝子変異による重複、ハプロ不全のいずれのケースも自閉症FoxG1症候群を発症することからも自明であり、申請者は独自に開発したマウス遺伝学の手法により、特定の皮質細胞で目標の時期にFoxG1因子「量」を増加・減少操作する系を確立している。
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