研究領域 | 脳構築における発生時計と場の連携 |
研究課題/領域番号 |
19H04795
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
丸山 千秋 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, プロジェクトリーダー (00281626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大脳新皮質 / サブプレート / シングルセル解析 / 脳発生 |
研究実績の概要 |
大脳新皮質はインサイドアウトの6層構造を持つ。この極めて特徴的な脳構造の獲得により哺乳類は膨大数のニューロンを精緻に配置し、高度な情報処理能を持つヒト脳への進化を遂げた。胎児期という限られた発生時間内にこの精巧な構造ができるには、ニューロンの新生、移動、軸索投射による神経回路形成等の現象が同時、かつ互いに同調して進行する必要がある。しかしその総合的な制御メカニズムは未解明である。サブプレート(SP)ニューロンは大脳発生過程の最初期に誕生し、生後は消失するニューロンで、視床-皮質連絡を制御する他、最近その神経活動が新生ニューロンの移動モード変換のタイミングを制御することが明らかになった。本研究では、SPニューロンおよびそれを取り囲む豊富な細胞外基質からなるSP層の機能解析を通して、限定された時間軸の中で脳構築が正確に行われるメカニズムの解明を目指して実験を行なっている。 今年度は、サブプレートニューロンのサブタイプを同定する目的で、サブプレートニューロン特異的に蛍光タンパク質のEGFPを発現しているLpar1-EGFPマウスの胎仔脳大脳皮質よりEGFP陽性のサブプレート細胞をFACSで単離しシングルセルRNAseqを行った。胎生17日目の胎仔脳を解剖し、大脳背側部を単離後細胞をパパイン処理で分散させた後FACSsortingによりEGFP陽性のサブプレート細胞を単離した。その後Fluidigm C1システムを用いてシングルセルに分けた後(800細胞)、RNAを単離後cDNAを作成し次世代脳シークエンスにより各細胞に発現している遺伝子を同定した。得られたdataはRのパッケージであるSeuratを用いてマッピング後、クラスタリング等の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シングルセル解析は2データ取れたが、別のサブプレート細胞がラベルされているTg系統からもデータを取ろうとしていた矢先にコロナウィルス感染拡大により在宅勤務になってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新しい系統からもサブプレート細胞を単離してシングルセルRNAseqのdataをとり、サブポピュレーションの分子発現レベルでの違いを明らかにしていく。また、サブプレート細胞の早期分子マーカーを同定し、サブプレートニューロンの発生起源や成体まで残る白質細胞との関係について解析していきたい。
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