公募研究
HMCはPDI familyのひとつERp57とcomplexを組み、抗原ペプチドをloadingするPLC complexを形成する。しかしながら、MHCを構成する個々のb2m、HLAもしくは全体のアッセンブリを補助する因子は不明である。これまで本課題の代表者はHPLCや質量分析を用いてフォールディング反応におけるジスルフィド結合位置をモニタリングし、フォールディング中間体の構造解析を確立してきた。そこでこの手法を用い、HLA、b2m、およびb2mのアミロイドーシス変異体に対し、どのPDI ファミリー酵素がどのタイミングにおいて、どういった反応中間体構造を認識し、触媒するかについて検証し、ネオセルフを制御するための生体内蛋白質品質管理の恒常性維持システムの解明を目指した。2019年度はb2mおよびb2mアミロイドーシス変異体に対し、効率よく酸化的フォールディングを触媒するPDI familyを同定するに至った。またNMRを用いた解析により、b2mの変性状態および天然状態に相互作用する各種PDI familyの解析を進め、それぞれの親和性を明らかにしつつある。また、試験管内で得られたPDI ファミリーが補助するMHC 組み立て機序について細胞内で検証するため、2019年7-9月にUKのGlasgow大学において、無細胞タンパク質合成系とセミインタクト細胞の技術を組み合わせた新規システムの技法を取得し、in vitroで得られた結果を再現しつつある。着実に成果を得られつつあり、2020年度に原著論文発表を目指す。
2: おおむね順調に進展している
in vitroアッセイ系を構築し、b2mおよびb2mアミロイドーシス変異体に対し、効率よく酸化的フォールディングを触媒するPDI familyを同定するに至った。またNMRを用いた解析により、b2mの変性状態および天然状態に相互作用する各種PDI familyの解析を進め、それぞれの親和性を明らかにしつつある。HLAに関しては、発現・精製系を構築するに至り、還元変性状態のHLAの調製が終わった現状であり、計画通り進んでいる。また、セルフリ―系システムを利用した小胞体内ジスルフィド結合のモニタリングシステムの構築においては、2019年7-9月において、UKのGlasgow大学のProf Neil Bulleidの所に短期留学し、技法を取得した。以上の理由により、研究計画は概ね順調に進展している。
in vitroアッセイ系によりHLAの酸化的フォールディング経路を同定する必要がある。これは質量分析とHPLCを組み合わせ、2020年度に取り組む。このアッセイ系を用いて、順次PDI familyによる酸化的フォールディング触媒を評価し、重要な因子を洗い出しする。得られた情報を基に、セルフリ―系システムで再検証する必要がある。b2mに関し、今後b2mの各種フォールディング状態のNMR解析を進め、PDI familyがb2mのフォールディング状態に応じてどの残基を認識しているのかを明らかにする必要がある。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 6件、 招待講演 11件) 図書 (3件)
Biochim Biophys Acta-general subjects
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Nature Chemical Biology
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ACS nano
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