公募研究
CD19を標的にしたCAR T細胞はB細胞性白血病/リンパ腫において驚異的な有効性を示しているが、それ以外の疾患に対しては、多くのトランスクリプト―ム、プロテオーム解析などを用いた網羅的探索が行われてきたにも関わらず、適切ながん特異的標的抗原の同定に難渋しているのが現状である。我々は、がんと正常細胞の両方に発現しているが、その高次構造の違いによって生じる “ネオセルフ”を標的にしたCAR T細胞療法が可能かどうかを検討してきた。まず、最初の成果である多発性骨髄腫に高発現する活性型インテグリンb7を標的としたCAR-T細胞療法(Nat Med, 2017)は、その臨床応用が進み、ヒトでの治験がスタートした。骨髄腫細胞における活性型インテグリンb7の発現に関する全国調査も行い、多くの患者で抗原が発現していることを明らかにした(manuscript in revision)。さらに、正常細胞にも発現する蛋白質Xを認識するにもかかわらず骨髄腫細胞特異的な結合を示すR8H283抗体を単離し、それが骨髄腫細胞に高発現するXと別の蛋白質とのheterodimerのみを認識することを明らかにした(manuscript in revision)。このように、抗原蛋白質自体はユビキタスに発現するが、がんに高発現するパートナー蛋白質との複合体においてのみ形成されるエピトープが新たなタイプの“ネオセルフ”となりうることも示した。その骨髄腫特異的エピトープの形成機序の解析を続けている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Stem Cells
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