公募研究
本研究は、ヒトのアロ免疫認識機構により生じる移植免疫反応(移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病効果(GVL効果))を解析することにより、従来のアロ免疫とは異なる認識機構を検索し、自己免疫とは異なった視点でセルフ・ネオセルフの認識機構を追及するとともに、造血器腫瘍における腫瘍免疫回避機構に関わる新たなHLA発現様式の解明を目的としている。研究代表者は新学術領域公募研究(ネオ・セルフ領域番号 3804 平成29年度~平成30年度)において、HLA-DPB1の非翻訳領域を含む全領域ゲノム情報に基づき作成した系統樹と非血縁者間骨髄移植約1200ペアからなる大規模免疫遺伝データべースを用いて、HLA-DPB1遺伝子のエキソン3から3’非翻訳領域の領域が従来のT細胞エピトープに基づくHLAアリルとその適合度により生じるGVHD発症機構とは異なる機序でGVHDの発症に関連していることを世界に先駆けて明らかにした。本研究では、HLA-DPB1座以外の他のHLA座においてHLAの質的・量的発現様式ならびにHLA非翻訳領域の関与を同様な手法で解析し、新たな移植免疫発症機序を追及する。さらに、白血病細胞の新たなHLA発現様式を検索し、腫瘍の発症・進展の機序を解明することを目的とし、解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
本研究期間で、同種造血幹細胞移植において、HLAの発現量の違いが移植成績にどのように影響するかを検討するためのデータベース整備を実施した。このデータベースをもとに、解析を進めている。さらに、白血病患者の末梢血及び骨髄の検体より白血病細胞と非腫瘍細胞を分離し、HLA-A, -B, -C, -DRB1, -DQB1, -DPB1の遺伝子全領域の解析を行った。腫瘍細胞に生じるHLAの異常と同種造血幹細胞移植のアロ免疫反応との関連について、解析を進めている。
同種造血幹細胞移植において、HLAの発現量の違いが移植成績にどのように影響するか解析を進め、共同研究者と協議して学会論文発表を行う。白血病細胞に生じるHLA遺伝子異常が同種造血幹細胞移植においてどのようい影響するか検討し、論文化を進める。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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