公募研究
COPA症候群は、間質性肺炎や関節炎を呈する常染色体優性遺伝の自己炎症性疾患であり、I型インターフェロン(IFN)により誘導される遺伝子群(ISG)の発現が増強しているが、自己抗体の産生や異常なT細胞の活性化など獲得免疫の異常も認められる。ゴルジ体から小胞体へのタンパク質輸送を担うタンパク質複合体coat protein complex I (COPI)を構成するサブユニットタンパク質Coatomer subunit α (COPA)のアミノ酸置換をきたすヘテロ変異が原因遺伝子変異であることが明らかになっているものの、その病態はほとんど不明である。今年度は、COPA症候群患者で同定された新規のアミノ酸置換変異(X変異とする)を導入したマウスを樹立し、その解析を進めた。Copa Xヘテロ変異マウスでは、外見はほぼ正常であったが、炎症細胞浸潤を伴う間質性肺炎が高率に認められ、脾臓細胞ではISGの発現が亢進していた。樹状細胞を解析したところ、細胞質内DNAセンサーSTINGシグナルによるI型IFN産生誘導が亢進しており、STINGの下流のシグナル伝達分子が過剰に活性化されていた。また、脾臓でのISGの発現亢進はSTING阻害剤により減弱した。これらの結果から、Copa Xヘテロ変異マウスにおいて、COPA症候群の病態が再現されていること、そしてその病態異常にSTINGシグナルの亢進が関与することが示唆された。今後、Copa X変異マウスにおいて、自然免疫、獲得免疫両面から解析を進め、間質性肺炎など自己炎症性疾患の病態を解明する。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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