研究領域 | ネオ・セルフの生成・機能・構造 |
研究課題/領域番号 |
19H04814
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
口丸 高弘 自治医科大学, 医学部, 講師 (10570591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 近接細胞蛍光標識 / 1細胞トランスクリプトーム / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、独自に開発する近接細胞蛍光標識技術と1細胞トランスクリプトーム解析を用いて、腫瘍免疫の回避機構に関わるがん細胞ー間質細胞相互作用を明らかにする。そのために、マウスの生体組織において、既存の手法よりも高効率かつ選択的にがん細胞と相互作用した間質細胞を蛍光標識する遺伝子コード型のレポータシステムHUNTER(Highlighting Unknown Neighbors Through Extracellular gfp-Reconstituion)の開発を進めた。HUNTERは分割型の緑色蛍光タンパク質(GFP)をベースにしたシステムであり、それぞれの分割断片をがん細胞と間質細胞に遺伝子導入する。がん細胞側の分割断片は細胞外に分泌され、近接する間質細胞の膜上でGFPが再構築され発色する仕組みである。GFP断片の分泌様式を最適化することで、がん細胞に約5時間近接した間質細胞は顕微鏡で蛍光観察可能なGFPを再構成することが明らかになった。HUNTERが、がん細胞と血球系細胞との相互作用を蛍光標識可能か調べるために、ヒトT細胞由来の細胞株であるJurkatにHUNTERレポーターを安定導入した。さらに、HUNTERレポーターを全身発現するトランスジェニックマウスの作出と並行して、アデノ随伴ウィルスによって肝臓の間質細胞にHUNTERレポーターを導入する系を確立した。肝間質細胞にレポーターを導入したマウスに、がん細胞を移植した後、肝組織を顕微観察したところ、がん細胞近傍の間質細胞がGFP標識されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トランスジェニックマウスに導入したHUNTERレポーター遺伝子の発現量が期待よりも低く、プロモーターの変更など新たにマウスの作出過程に着手したことから当初の計画より遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築した、HUNTERシステムを用いて、マウスの肝臓における腫瘍形成過程で癌細胞が腫瘍免疫機構を回避するメカニズムについて調査を進めていく予定である。
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