公募研究
様々な中枢神経系関連疾患では自己免疫寛容の破綻が関与している。多発性硬化症や抗NMDA受容体抗体脳炎などはもちろんのこと、パーキンソン病やアルツハイマーなどの神経疾患と慢性炎症やHLAなどの免疫系の関連性が報告されている。また、自閉症や統合失調症と、HLAによる疾患感受性との関連も強く示唆されている。中枢神経系における自己免疫を制御する機構、すなわち制御性T細胞による抑制機構・自己免疫寛容の解明は、様々な中枢神経系疾患の治療・予防法の開発においても重要な課題である。本研究では、脳Tregを誘導する新しい抗原(ネオ・セルフ)を同定を目的とした。一般的なマウス中大脳動脈閉塞モデルを用いて、脳梗塞後の脳内の細胞ポピュレーションを明らかにするために、脳梗塞後の急性期・慢性期の脳半球の一細胞RNAseqを実施した。さらに、CD4T細胞の1細胞TCRseqを実施した。無処置ではミクログリアや脳細胞が多く、急性期ではマクロファージや樹状細胞などの自然免疫細胞が大半を占めるようになった。慢性期で炎症性のマクロファージが居なくなり、T細胞とB細胞などの獲得免疫細胞が増えた。 慢性期になると、γδT細胞、CD4、CD8、NKT細胞、NK細胞、B細胞と、様々なリンパ球浸潤が認められ、その中でもCD4陽性T細胞に着目してTCR解析を行った。CD4T細胞はTreg、Th1、Th17、ナイーブ様Tcellに分かれ、ナイーブ様Tcell以外はオリゴクローナルに増殖して、Th1特異的TCR、Th17特異的TCR、Treg特異的TCRを持つため、特異的な抗原を認識して増殖していることが示唆された。T細胞のTCRに関しては、脳内Th1、Th17、TregはそれぞれTCRが異なり、抗原が異なるとすれば、抗原によってTregのみを誘導がすることが可能かもしれない。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
Clin Transl Immunology.
巻: 30;9(11) ページ: e1203
10.1002/cti2.1203.
Cell Mol Immunol.
巻: Sep ページ: 11
10.1038/s41423-020-00547-x.
JCI Insight.
巻: 23;5(14) ページ: e136185.
10.1172/jci.insight.136185.