研究実績の概要 |
課題1:HIV出芽過程に関与する宿主表層骨格タンパク質の同定 これまでに、Gagが形成するウイルス様粒子 (Gag VLP) にF-BARドメインを持つタンパク質が共局在することを見いだしている。このF-BARタンパク質にTurboIDを融合させたものをCOS7細胞に発現させ、粒子周辺のタンパク質をin vivoでビオチン化し、質量分析器でタンパク質を同定した。得られた候補の中から20種類を選び出し、cDNAをクローニングした後にタグを付加して培養細胞に発現させ、以下の結果を得た。i) 培養細胞のlysateを用いたpull-downアッセイにより、F-BARドメインタンパク質と相互作用するタンパク質を7種同定した。ii) HIV Gagのp6ドメインに対する結合を同様のPull-downにより検証したところ、i)とは異なる5種のタンパク質で相互作用を確認した。iii) 候補タンパク質をCOS7, HeLa, HEK293Tの細胞に過剰発現させ、培養液中に放出されたGag VLPを定量したところ、3種のタンパク質で増加、2種で減少を確認した。 課題2:HIV出芽過程に関与する宿主表層骨格タンパク質の構造・機能・動態解析 課題1のi), ii), ii)でポジティブな結果が得られたタンパク質に関しては、共焦点顕微鏡や、高速AFMを用いてライブセル観察し、VLP出芽時のタンパク質局在と細胞膜の形態変化を可視化・解析した。これまでに、VLPと共局在するものを含め、VLP内部にまで取り込まれるものや、出芽時のみに共局在し、VLP内部には取り込まれないものを同定することに成功している。このことは、出芽の異なる段階で異なる宿主タンパク質が機能していることを示す。
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