公募研究
本研究では、巨大ウイルスの構造および形態を、クライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)を用いて分子レベルで解析し、既知のものと合わせて比較分類することによって構造学的な系統進化をたどる。この目的のために、直径が共に約250 nmの正二十面体巨大ウイルスのトーキョーウイルス(TkV)とメドゥーサウイルス(MedV)について、構造解析を行い得られた構造を比較した。①TkVの構造解析:本解析では、大阪大学超高圧電顕センターの1000kV超高圧クライオ電顕を用いてデータ収集し、単粒子解析することで0.77 nm分解能のキャプシド全体のクライオ電顕マップを得ることができた。このマップから、TkVの表面が他のウイルスとも相同性の高いメジャーキャプシドタンパク質(MCP)で覆われるとともに、MCPの配向を支える約10種類のマイナーキャプシドタンパク質(mCP)からなることが明らかになった。②MedVの構造解析: 本解析では、大阪大学蛋白質研究所の300kVクライオ電顕を用いてデータ収集し、単粒子解析することで1.95 nm分解能のキャプシド全体のクライオ電顕マップを得ることができた。MedVもTkVと同じく表面がMCPによって覆われているが、MCPの外側に長さと幅が異なる3種類のスパイク状の突起をもつこと、TkVのように発達したmCPを持たないことが明らかになった。今回の解析で明らかになった2種類の正二十面体巨大ウイルスの構造は、これまでに報告されている同様の正二十面体ウイルスのPBCV-1やASFVなどとは、MCP以外は非常に異なるキャプシド構造を持っており、巨大ウイルスの構造の多様性を示す結果となった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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