真核生物、とりわけ植物のゲノム進化においては、異種由来のゲノムが融合することで作られる異質倍数体ゲノム(ハイブリッドゲノム)が重要な役割を果たす。しかしながら、倍数体ゲノムが誕生した後にそれがどのように新たな生物種のゲノムとして安定化していくか、そのプロセスの根本はほとんど明らかになっていない。本研究では、異質倍数体ゲノムの安定化プロセス解明のためのバイオインフォマティクス研究を展開した。特に、異質倍数体ゲノムにおいてはゲノムが大きく不安定化するとの予想のもと、情報と実験のハイブリッドアプローチによってそのプロセスを解明するための基盤を構築することを目指して研究を進めた。
令和2年度は、RNA-Seqデータとの統合的なバイオインフォマティクス解析を行うことで、異質倍数体におけるゲノム3次元構造の大幅な変化がゲノムワイドな遺伝子発現プロファイルに与えた影響の解明を進めた。特に、これまでの研究で得た解析結果に加えて、RNA-Seqデータとの統合的な解析を行った。これにより、新種を新種たらしめる表現型の変化・進化プロセスにどのようにハイブリッドゲノムの進化がつながっていくか、さらに詳細な解析を進めることが可能になった。
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