• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

花成誘導の光周期依存経路における制御タンパク質複合体の構造基盤解明

公募研究

研究領域植物新種誕生の原理―生殖過程の鍵と鍵穴の分子実態解明を通じて―
研究課題/領域番号 19H04855
研究機関東京大学

研究代表者

宮川 拓也  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50596559)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード植物 / 花成誘導 / 光周期応答 / 蛋白質間相互作用 / 複合体構造解析
研究実績の概要

光周期依存経路は、日長という環境要因を植物が感知することで花成が促進される外因的経路であり、植物の開花時期を決定する重要な発生制御機構の一つである。この経路の中心的な転写因子であるCONSTANS(CO)は、光応答性のE3ユビキチンリガーゼにより転写と翻訳後修飾の二段階で調節されている。本研究では、光周期依存経路の制御タンパク質複合体を生化学・構造生物学的アプローチにより解析することで、CO及びその転写抑制因子CDF1の分解を導くE3ユビキチンリガーゼの光依存的な機能変換機構を理解することを目的としている。本研究で対象とする光周期依存経路の制御タンパク質複合体の構成因子は複数のドメインを有するが、どの領域で複合体が形成されるかは十分に理解されていない。そこで、各タンパク質が複合体を形成するために必要な領域を明らかにするため、全長及びドメイン構成に基づいた各種コンストラクトの調製を検討し、コムギ胚芽無細胞合成系での合成を確認した。さらにCO、CDF1、及びそれらの分解調節を担うE3ユビキチンリガーゼの機能ドメインに関して、大腸菌発現系を用いた調製条件を確立した。その他のコンストラクトについては、昆虫細胞-バキュロウイルス系での発現を並行して検討している。
また、葯・花粉の発達に関わる遺伝子等の転写調節に機能するブラシノステロイド(BR)に注目し、BRシグナル伝達のマスター転写因子であるBZR転写因子のDNA配列特異性とその構造基盤の解明にも取り組んだ。DAP-seqデータベース解析とそれに基づくDNA結合親和性の系統的解析により、BZR転写因子のG-box配列に対する親和性がその周辺の塩基配列の組み合わせで大きく異なることが示された。G-box配列を含み親和性の異なる複数のDNA断片とBZR転写因子の複合体構造を解析し比較した結果、BZR転写因子のDNA配列特異性を規定する新たな構造基盤が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

BZR転写因子のDNA配列特異性の構造基盤解析については当初計画通りの進捗が得られている。また、光周期依存経路の制御タンパク質複合体の解析については、コムギ胚芽無細胞合成系を用いて複合体の各構成因子の合成が確認でき、in vitro相互作用アッセイの検討が進んでいる。さらに一部の構成因子については構造解析に資するタンパク質調製条件の確立に至っている。

今後の研究の推進方策

構造解析に向けた複合体構成因子のタンパク質生産では昆虫細胞-バキュロウイルス系を用いた検討を引き続き行う。また、コムギ胚芽無細胞合成系ではほぼ全ての構成因子の合成が確認できたため、この合成系をスケールアップして生産したタンパク質を用いてAlphaScreen等のin vitro相互作用アッセイ法により相互作用領域の解析を進め、その結果に基づいて再構成した複合体の構造解析を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Molecular basis of strigolactone perception in root-parasitic plants: aiming to control its germination with strigolactone agonists/antagonists2020

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa T, Xu Y, Tanokura M
    • 雑誌名

      Cell Mol Life Sci

      巻: 77 ページ: 1103-1113

    • DOI

      10.1007/s00018-019-03318-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural comparisons of phosphoenolpyruvate carboxykinases reveal the evolutionary trajectories of these phosphodiester energy conversion enzymes2019

    • 著者名/発表者名
      Chiba Y, Miyakawa T, Shimane Y, Takai K, Tanokura M, Nozaki T
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 294 ページ: 19269-19278

    • DOI

      10.1074/jbc.RA119.010920

    • 査読あり
  • [学会発表] ブラシノステロイドのマスター転写因子BIL1/BZR1のプロモーター選択特異性の解明2020

    • 著者名/発表者名
      野崎翔平, 宮川拓也, 光田展隆, 寺田透, 山上あゆみ, 中野雄司, 田之倉優
    • 学会等名
      日本農芸化学会2020年度大会
  • [学会発表] 糸状菌の持つ分泌型ホスホリパーゼA2の構造および機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      関口永莉, 宮川拓也, 田之倉優, 吉田稔, 有岡学
    • 学会等名
      日本農芸化学会2020年度大会
  • [学会発表] Structural basis for the substrate specificity of phosphoenolpyruvate carboxykinases as phosphodiester energy-conversion enzymes2019

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa T, Chiba Y, Shimane Y, Tanokura M
    • 学会等名
      The 6th International Symposium on Bioimaging/The 28th Annual Meeting of Bioimaging Society
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi