公募研究
光周期依存経路は、日長という環境要因を植物が感知することで花成が促進される外因的経路であり、植物の開花時期を決定する重要な発生制御機構の一つである。この経路の中心的な転写因子であるCONSTANS(CO)は、光応答性のE3ユビキチンリガーゼにより転写と翻訳後修飾の二段階で調節されている。本研究では、CO及びその転写抑制因子CDF1の分解を導くE3ユビキチンリガーゼの光依存的な機能変換機構にアプローチするため、コムギ胚芽無細胞合成系を用いて、E3ユビキチンリガーゼ複合体のin vitro再構成系を確立した。さらにこの再構成系を用いた相互作用アッセイにより、CDF1が「E3ユビキチンリガーゼFKF1に恒常的に結合する領域」と「FKF1の光センサーであるLOVドメインにGIタンパク質を介して結合する領域」が特定され、光依存的なCDF1制御モデルをアップデートする知見が得られた。葯・花粉の発達に関わる遺伝子等の転写調節に機能するブラシノステロイド(BR)のシグナル伝達機構では、そのマスター転写因子であるBZR転写因子のDNA配列特異性とその構造基盤の解明に取り組んだ。DAP-seqデータとマイクロアレイのゲノムワイド解析により、BZR転写因子が単独で強く結合可能なDNAプロモーター上のG-box配列を認識した場合の遺伝子発現の制御パターンが明らかになった。また、BZR転写因子のG-box配列に対する親和性はそれに隣接する両側2塩基の組み合わせに強く影響されることが分かり、BIL1/BZR1が特有のDNA主鎖リン酸基との相互作用ネットワークを利用することで、BIL1/BZR1と結合が可能な特定のDNAコンホメーション変化を許容する隣接塩基パターンを認識する仕組みが示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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