研究領域 | 植物新種誕生の原理―生殖過程の鍵と鍵穴の分子実態解明を通じて― |
研究課題/領域番号 |
19H04857
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 核膜融合 / 核膜タンパク質 / 化合物スクリーニング / ライブイメージング / タンパク質構造解析 / シロイヌナズナ / ゼニゴケ |
研究実績の概要 |
被子植物の有性生殖で観察される核融合では核膜同士が直接融合することで2つの核が融合する。われわれは、シロイヌナズナ有性生殖過程の核膜融合因子としてGex1を見いだした。本研究では、核膜融合の鍵因子であるGex1に着目し、シロイヌナズナ有性生殖過程の核膜融合の分子機構と、その初期発生における意義の解明を目的とする。 本年度はまず、Gex1と相互作用するタンパク質の探索を行った。このため体細胞でGFP-Gex1を発現する形質転換体を構築し、GFP-Gex1は体細胞でも配偶子と同様の核膜局在を示すことを示すとともに、単離核画分からのGFP-Gex1の可溶化条件の検討を行った。現在、GFP-Gex1複合体の調製を試みている。また、進化の観点からの核融合機構の解析を目指し、基部陸上植物であるゼニゴケのGex1ホモログの解析を進めている。これまでに、ゲノム編集によってゼニゴケgex1変異株を作製し、雌株のGEX1遺伝子が欠損すると受精が異常となることを示唆する結果を得た。また、生殖器におけるゼニゴケGex1の発現と局在を解析するため、蛍光タンパク質融合遺伝子を導入したゼニゴケ形質転換体の作製も行った。 出芽酵母とシロイヌナズナの間には、有性生殖過程の核融合機構に共通性が見られる。そこでハイスループットスクリーニングが可能な出芽酵母を用いて、核膜融合を制御する低分子化合物のスクリーニングを行った。12,400化合物のスクリーニングの結果、核融合阻害の候補化合物が1種類得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核融合阻害化合物候補が得られたことは大きな進展と考えられる。また、ゼニゴケを用いた解析も、領域内共同研究を進めることで順調に進めることができた。シロイヌナズナとゼニゴケの両方で、解析に必要な株の構築は順調に進んでおり、当初の目的が達成されると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
解析に必要な植物の構築も進んでおり、本年度はライブイメージング解析を合わせた解析も行い、目的達成のための研究を進めていく予定である。
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