公募研究
本研究では以下の検討を行なった。1) 一般人口において思春期に援助希求意図は親子伝達するか。2) 性役割についての主体価値の親子伝達が援助希求に影響するか。3) 「他人に迷惑をかけないことが大事」という主体価値の親子伝達が援助希求に影響するか。本研究では、研究代表者が立ち上げから関与している地域代表思春期コホート「東京ティーンコホート」のデータを用いた。援助希求意図は、児童および主養育者のそれぞれに、うつ病のヴィネットを提示し、自身が同じような状態になったら誰かに相談するかを2件法で尋ねた。縦断データ解析の結果、親の援助希求意図は子供の援助希求意図に影響を与えていた。一方で、子供の援助希求意図は親の援助希求意図に影響を与えていなかった。性役割についての主体価値は親子伝達していなかった。子供の性役割についての主体価値に関係したのは、困った時に相談できる人数、担任の援助的態度(クラスメイトを助ける)であった。「他人に迷惑をかけない」を大事にすると回答した思春期児童の方が援助希求意図が高い傾向がみられた。本研究において、援助希求態度が親から子へと伝達しており、思春期に主体価値の親子伝達が起こることが示唆された。本研究で確認したのは、特定状況下における具体的行動に関する意図の伝達であり、信条・信念の親子伝達はみとめなかった。こうした信条・信念は周囲の大人の行動から影響を受けている可能性が示唆された。援助希求意図と有意に関係していた主体価値は、全て援助希求意図を高める方向に関係していた。主体価値の内容よりも、エネルギーの高さ(意思の強さ)が援助希求意図と関係しているのかもしれない。また、信条・信念よりも行動の方が主体価値の伝達に果たす役割が大きいかもしれない。子供の援助希求促進のためには、大人が積極的に他者を助ける・他者に援助を求める、などの行動を示すことが重要と思われる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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