公募研究
本研究の目的は、被災地コホートおよび足立区コホートを追跡し児童期におけるトラウマ体験、すなわち被災トラウマ、虐待トラウマ、そしてその両方の体験を有した子どもが、これらの体験がなかった子どもと比較し、思春期にどのような主体価値を、どの程度形成するのか(主体価値が形成されにくい状態としての主体価値形成不全も視野に入れる)、それを定量的に明らかにすることである。被災地コホートにおいては、実施可能性を考慮し、宮城県・福島県・三重県における参加者に追跡調査を行った。足立区コホートにおいては、東京都足立区と応募者が共同で平成28年度に実施した「足立区子どもの健康・生活実態調査」に参加している、7つの中学校における中2の参加者を高2時点で追跡した。それぞれの参加者において、当該領域内の連携研究によってすでに開されている主体価値測定法を導入し主体価値を定量的に評価した。また、様々な心理実験により主体価値を明らかにすることを試みた。さらに、fMRIの測定によりこれまでの生活習慣と主体価値がどのように関連するのかを可視化し、バイオマーカーとなりうるのか、生体試料との関連はあるのか、などの検証をすべく調査を実施した。調査は新型コロナウイルスの影響で中断せざるを得なかったため限定的であったが、震災のトラウマ体験または虐待による体験が主体価値への影響があることが確認された。さらに、東日本大震災の被害と子どもの時間選好性の関係を明らかにした。具体的には、家屋が全壊または流出した子どもは、家屋の被害がなかった子どもに比べて、time-investment exercise法で測定したコインを5枚渡され、コイン1枚につき1個のキャンディをいまもらうか、コイン1枚につき2個のキャンディを1ヶ月後にもらうかの選択において、「いま」にコインを0.535枚(95%信頼区間: -0.012, 1.081)多く置いていた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件)
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