研究領域 | 脳・生活・人生の統合的理解にもとづく思春期からの主体価値発展学 |
研究課題/領域番号 |
19H04885
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
飯島 和樹 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (60743680)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | fMRI / 意思決定 / 行為主体感 / 創造性 / 自由意志 / オプション生成 / ASD / 自閉症 |
研究実績の概要 |
タッチスクリーンを用いてオプション生成の流暢性と独自性とを計測する線描課題に関して,オリジナルの開発者である Harvard 大学の Yuen-Siang Ang 博士と連絡を取りながら,3 種類の対照課題を含めた試行数・課題時間・インストラクションについて検討・改変し,定型発達の被験者7名から予備的なデータを取得した. また,主体価値に関する理論的な研究論文も出版した.我々は,行動の結果の価値,主観的規範,自己効力感の3要因を含みつつ,なおかつ期待効用理論とも整合的であるような,新しい行動変容理論を提案した.当理論は,本新学術領域で得られた主体価値に関する知見を,行動経済学における先延ばしなどのバイアス研究と組み合わせて用いることを可能とするもので,精度の高い行動変容が期待できる.この成果は,共著論文として,国際誌 Frontiers in Psychology に掲載された. さらに,思春期に発症する精神疾患への早期介入および予防を目指して,遺伝子・分子・細胞・回路・生理学・臨床現象学などのバイオマーカーに基づいて,統合失調症と気分障害の特異性と連続性を概観するレヴュー論文を国際誌 Current Pharmaceutical Design に発表し,統合失調症,統合感情障害,双極性障害は重症度における連続体であるという見解を支持した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延の影響により,所属機関である玉川大学の方針で 3 月からすべてのヒトを対象とした実験が中止となった.ヒトを対象とした実験の再開については所属機関の方針に従うことになる.現状として,再開の見込みはたっていない.当事者研究の進捗についても,共同研究者の所属期間である東京大学の方針に従い,同様の状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
今後,各機関で COVID-19 感染防止策を検討した後,当事者研究の進捗との足並みを揃えて,実験を再開する見込みである.一部の実験については,オンラインでの実施可能性も含めて検討中である.実験再開が可能になるまでは,線描課題の解析,fMRI 課題の洗練に注力する.
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