研究領域 | 脳・生活・人生の統合的理解にもとづく思春期からの主体価値発展学 |
研究課題/領域番号 |
19H04887
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
新井 誠 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (80356253)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グリケーション / 思春期 / 統合失調症 / 精神症状 / 糖化 / メンタルヘルス / AGEs / 主体価値 |
研究実績の概要 |
思春期における精神病症状の持続は、統合失調症の発症や自殺リスクの上昇を予測する重要因子であり、リスクのある児童を早期に同定することは精神保健分野における最大の課題である。しかしながら精神病症状の持続を予測するバイオマーカーはない。そこで我々は、Tokyo Teen Cohortのサブサンプルスタディにリクルートされた200名以上の抗精神病薬未服薬の児童 (ベースライン時の平均年齢 13歳) を対象に、非侵襲的にfingertip AGEsを測定し、精神病症状の持続との関連性を検証した。精神病症状は3人の精神科医の半構造化面接によって評価し、AGEsは皮膚AGEsセンサーを利用して非侵襲的に測定した。 その結果、ベースラインのfingertip AGEsが精神病症状の持続を予測することを明らかにした(オッズ比, 1.71;95%CI, 1.06-2.75; p = 0.03)。このことはAGEsが成人の慢性期精神疾患のみならず、早期精神病とも関連することを意味し、精神病発症のメカニズムにAGEsが関与していることを示唆していると考えられる。 本研究は、年齢、性別とBMIを調整した多項ロジスティック回帰分析の結果、ベースラインのfingertip AGEs値が有意に精神病症状の持続を予測した 。以上から、fingertip AGEsは、医療現場のみならず学校や地域においてハイリスクの思春期児童を早期に同定するために有用なバイオマーカーであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
fingertip AGEsと精神病症状との関連に関して論文成果として投稿を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
fingertip AGEs指標の適応拡大を図るとともに、当該新学術研究領域内で集積された基底生活行動評価、主体価値評価、栄養素データについて包括的に相関を検証する。また、縦断追跡データの検証から、因果関係を分析し、主体価値形成の転換点、変容点に影響を及ぼす因子を明らかにする。
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