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2020 年度 実績報告書

セル・アンサンブル活動による認知情報表現から抽出する「個性脳」

公募研究

研究領域多様な「個性」を創発する脳システムの統合的理解
研究課題/領域番号 19H04899
研究機関獨協医科大学

研究代表者

大川 宜昭  獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80416651)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード個性 / セル・アンサンブル / 海馬 / 認知 / 記憶
研究実績の概要

我々はこれまでに、新奇エピソード体験時に同期活動性で規定された複数の神経細胞集団(セル・アンサンブル)活動が脳内に出現することを明らかにし、これらのセル・アンサンブルによる協奏的な表現様式によって、記憶の全体像が脳内で表出されていることを提案するに至った。一方で、エピソード体験の記憶情報が、認知されセル・アンサンブルとして脳内で表現される機構は未だ不明である。細胞接着分子であるクラスター型プロトカドヘリン(Pcdhs)は、Pcdhα, β, and γ3つのサブグループから構成され、マウスでは58個のPcdhsが脳に発現する。各細胞には、それぞれ異なる組み合わせのPcdhsが発現し、これによって神経細胞間のシナプス結合が規定されていると考えられている。つまりPcdhsによって、個々の神経細胞に個性と繋がり方の多様性が与えられていると予想される。そこで我々は、セル・アンサンブルを介した認知の個性的脳内表現とPcdhsの多様性との関連について検討を行った。
今回我々は、Pcdhβ1-22、22個全てを欠損させたマウス(Δβ)でセル・アンサンブルによる新奇エピソード情報の海馬内表現様式を観察・解析した。すると、Δβマウスでは、1つのセル・アンサンブルを構成する細胞数が多く、加えて、それぞれの細胞が複数のセル・アンサンブルに含まれている確率が高いことが明らかとなった。またこれを反映して、Δβマウスは、2つの新奇空間を区別出来難いことが分かった。この結果は、多様な認知情報に対応できるよう脳の神経回路がPcdhsで規定されており、これによってセル・アンサンブルの多様性が保たれていることを示唆する。この多様性は、個性的な認知情報を表現する神経回路基盤の一つであると考えられる。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 学会発表 (4件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 部分としての複数の細胞亜集団活動が奏でるエピソード記憶の全体表現2021

    • 著者名/発表者名
      大川 宜昭
    • 学会等名
      第126回日本解剖学会総会・全国学術集会 / 第98回日本生理学会大会 合同大会・シンポジウム:部分と全体学で中枢神経系の構造-機能連関の解明に挑む
  • [学会発表] Pre-configured Ensembles are Recruited into Upcoming Hippocampal Engram2020

    • 著者名/発表者名
      Ghandour K., Ohkawa N., Fung C. A., Asai H., Saitoh Y., Takekawa T., Nishizono H., Sato M., Ohkura M., Nakai J., Hayashi Y., Fukai T., and Inokuchi K.
    • 学会等名
      The 43st Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society
  • [学会発表] 学習・記憶を担う海馬神経細胞集団の構築2020

    • 著者名/発表者名
      浅井 裕貴, 鈴木(大久保) 玲子, 金子 涼輔, 大川 宜昭, 斎藤 喜人, Ghandour Khaled, 村山 絵美, 西園 啓文, 松尾 美奈, 平山 晃斉, 村松 慎一, 八木 健, 井ノ口 馨
    • 学会等名
      第43回日本神経科学大会
  • [学会発表] 記憶痕跡セル・アンサンブルが織りなすエピソード記憶の脳内表現様式2020

    • 著者名/発表者名
      大川 宜昭
    • 学会等名
      第63回日本神経化学会大会・シンポジウム:記憶痕跡細胞の多様性と多能性
  • [図書] 脳内イメージングで解明する記憶の脳内表現2021

    • 著者名/発表者名
      大川 宜昭
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      羊土社, 『マウス・ラットモデル作製・解析プロフェッショナル』編集・先端モデル動物支援プラットフォーム, 第3章 生理機能の解析, 221-227
  • [図書] 脳深部Ca2+イメージングへの誘い2020

    • 著者名/発表者名
      大川 宜昭, 竹川 高志, 野本 真順, 井ノ口 馨
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      日本神経回路学会誌・特集:近年のin vivoイメージング, Vol. 27, No. 2: 74-86
  • [備考] 獨協医科大学 先端医科学研究センター 認知・記憶研究部門HP

    • URL

      https://sites.google.com/view/ninchi-kioku

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公開日: 2021-12-27  

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