研究実績の概要 |
北海道区水産研究所・北光丸(総トン数:1246トン)がベーリング海等で行った「夏季さけ・ます資源生態調査(令和2(2020)年7月13日~8月7日)」において、同海域で索餌回遊中のサケ(Oncorhynchus keta:体長37.4~50 cm)を釣獲し、15個体に行動記録計(アーカイバル・タグ:ARCGEO-9TSまたはLAT2910,Lotek Wireless Inc., Canada)を腹腔内に装着して放流した。放流個体は昨年度放流した個体も含め、早ければ2021年に産卵を行う河川(母川)が分布する、わが国を含む北太平洋沿岸域に来遊する。記録計が回収された場合、記録計に記録された照度、遊泳深度、環境水温、体温のデータをダウンロードして、解析を行う予定である。特に、照度データよりサケが回遊していた海域の経緯度を算出することにより、外洋での回遊経路を推定し、産卵回遊のナビゲーション・システムについて考察を加えていく予定である。なお、記録計が日本以外で回収された場合、国際委員会を通して報告がされるようになっている。 また、回遊初期のセグメント・データから、個体の最終目的地を予測するツール(NaviMine)の開発を行った。具体的には、2015~2018年に岩手県・大槌湾において超音波計測によって得られた水平移動データを用いて、超音波発信器を装着して放流した直後のデータ・セグメントから、最終的にどの河川に入るのかの予測を行った。
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