研究実績の概要 |
さまざまな空間情報は海馬で処理され、海馬で処理された情報は他の脳領域へと伝達されることでナビゲーション行動を支えると考えられている。しかし、海馬の持つ情報が、下流の領域群にどのように分配・伝達されるかは不明だった。そこで、ラットの海馬台において、情報の伝達先を網羅的に同定しつつ神経活動を計測する大規模電気生理解析を行った。その結果、海馬台は、海馬に比べてノイズに強い頑強な情報表現を持つことを見出した。さらに、「移動スピード」と「道順」の情報はそれぞれ帯状皮質と側坐核に選択的に伝達され、「場所」の情報は側坐核・視床・乳頭体・帯状皮質の4領域に均等に分配されることを明らかにした。これは、海馬から海馬台を経て下流の脳領域へと向かう空間情報の流れを明らかにした初めての成果である。この成果について論文発表を行った (Kitanishi et al., Sci Adv, 2021)。
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