研究領域 | 生物ナビゲーションのシステム科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04939
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
波部 斉 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80346072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 物体検出 / 物体追跡 / 機械学習 / 生態 / 環境変化 |
研究実績の概要 |
2019年度は,前回の公募研究で取りあげた,クロマグロやマイワシなどの群泳映像に着目し,取得状況が大きく変わる中でも正しく検出や追跡を行うための手法の検討を行った.具体的には,あらかじめ与えられた学習データによって構築した機械学習モデルを基本とし,異なる環境でのデータを処理するときには画像の変換処理を施すことで適応できることを示した.また,2019年8月や2020年2月には近畿大学水産研究所におけるデータ取得実験を行い,先述の手法の評価・検証に必要なデータを追加取得した. また,これらの取り組みと並行し,本新学術領域の計画研究班と協力して,コウモリの飛翔映像の解析にも着手した.コウモリの飛翔は魚の遊泳とは大きく性質が異なり,解決しなければいけない問題点も多い.例えば,野外を飛翔するときには様々な物体が背景に映っているため,コウモリの検出は困難である.また,コウモリは大変高速に姿勢を変えて飛翔するため,それを正しく追尾することも容易ではない.これらの問題を解決しながら,コウモリの生態を解析するために必要な移動データを獲得する手法の検討を行った.主な成果として,飛翔するコウモリを精度良く検出する手法や,複数カメラで獲得された移動軌跡の対応付けを自動で行う手法の開発が挙げられる. 以上の成果は学会などでも発表し,情報処理学会全国大会では奨励賞を受賞するなど,高い評価を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から想定してたクロマグロを対象として,養殖現場でのデータ収集や個体検出・個体追跡の手法の検討を予定どおり実施した.その結果,様々な照明条件下での個体検出を行う手法を考案し,その効果を確認できた. また,新学術領域計画研究のグループと協力して,コウモリの飛翔映像から移動軌跡を獲得する手法の検討を開始している.先述のとおり,個体検出や移動軌跡の対応付けを行う手法を基礎検討を開始している. このように,当初想定していなかった課題への取り組みも開始しており,順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に取り組んだ,クロマグロ稚魚やコウモリの映像処理を軸として,その中で,複雑環境における個体検出・追跡,複数カメラでの対応付け,多様な環境への自動適応などを実現していく.2019年度に獲得したデータに不足するデータの収集も実施して,評価実験をより信頼性の高いものとする.
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