群集の行動を観測すると指示に従わない人が少なからず存在する。群集は混雑度や経路長、経路の魅力(露店があるかないか)などから最終的な経路を決定するためである。さらに指示に従わない人が発生するとそれに追従する人が増えてポジティブフィードバックが発生し、安全が脅かされる。このような指示に従わない群集の経路選択をロジットモデルを用いて定式化した。ロジットモデルは交通手段選択に広く利用されている手法であり、経路長や経路の魅力など経路を選択する要素とその重みの掛け合わせで表現され、実際に観測された群集の移動データから最尤推定によってそれぞれの重みを推定することが可能である。 実際に花火大会で計測した群集の流れのデータにロジットモデルを適用することで、従来よりシミュレーションで行われているような,すべての人が言われた通りに移動するのではなく、個人の指向を表現しながら移動することが可能なモデルとなった。 さらには,ロジットモデルを群集の移動シミュレーションに組み込むこんだ。シミュレーション実験では、安全で安心なナビゲーションという観点でサイネージなどの誘導情報を変化させた場合や、誘導経路や露店の出店位置や道幅を変化させた場合に、混雑具合がどのように変化するかを検証した。 上記に加えて、群集の移動の代表的なモデルであるソーシャルフォースモデルのパラメータを個人毎に推定する研究、群集の移動をモデル化し予測制御を行う研究、群集の移動時間を推定する研究を行った。
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