研究領域 | 数理解析に基づく生体シグナル伝達システムの統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
19H04949
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 神経筋シナプス |
研究実績の概要 |
神経筋シナプス(NMJ:Neuromuscular Junction)は運動神経による骨格筋の制御に必須であり、その喪失は呼吸を含めた運動機能の喪失を招く。哺乳動物のNMJはアセチルコリン(ACh)を伝達物質とするシナプスであり、その機能には筋管細胞におけるACh受容体(AChR)遺伝子の発現が必須である。本研究では、数理解析とオミクス解析の手法を用いてAChR発現制御シグナルを統合的に理解するとともに、マウス個体におけるAChR発現制御シグナル分子群の機能解析と、NMJ関連疾患における当該分子群の異常の探索を推進し、その生理学的・病態生理学的な意義を解き明かすことを目的としている。 本年度の研究においては、これまでの研究代表者らの研究成果及び報告されている文献情報をもとにAChR発現制御シグナルのモデルを構築し、その数理シミュレーションを実施した。その結果、AChR発現制御シグナルの理解において、その構成因子候補であるタンパク質修飾酵素の分子数および当該酵素による標的分子の修飾反応速度の解析が重要であることが示唆された。これを踏まえ、培養筋管細胞を用いた当該分子等のAChR発現制御シグナル分子群の動態の解析に着手した。また、これまでの研究代表者らの研究成果からAChR発現制御において重要な役割を担うことが示唆されているタンパク質キナーゼファミリーの機能解析と生理学的意義の解明を目的として当該キナーゼファミリーをコードする遺伝子群を欠損したマウスの作成に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にも記載の通り、本年度はAChR発現制御シグナルのモデル構築とその数理シミュレーションを実施し、その結果を受けて、培養筋管細胞を用いたAChR発現制御シグナル分子群の動態の解析に着手した。さらに、AChR発現制御分子群の遺伝子欠損マウスの作出を進め、その生理学的意義の解明も進めている。それ故、上記区分を選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
培養筋管細胞を用いたAChR発現制御シグナル分子群の動態解析のため、当該分子群に対する抗体の入手・作出を進める。また、AChR発現制御分子群の遺伝子欠損マウスのAChR発現及びNMJ機能と構造に関する解析を進め、当該分子群およびAChR発現制御シグナルの生理学的な意義の解明を推進する。その他の課題についても、当初の計画に沿った研究を速やかに実施する。
|