公募研究
mTORC1は、細胞の栄養状態に応じて同化と異化のバランスを調節することにより、細胞の成長や生存に必須の役割を担う制御因子であり、その制御破綻は糖尿病やがんなどの疾患と密接に関わる。mTORC1の活性は、アミノ酸に依存してリソソーム膜上でp18-Ragulator-Rag複合体と相互作用することにより制御されることが示されているが、その分子機序にはまだ不明な点が多く残されている。そこで本研究では、mTORC1の活性制御機構の全容解明を目指して、1)p18-Ragulator-Rag複合体とその活性制御因子との相互作用の分子基盤解析、2)mTORC1シグナルの数理モデルの構築、3)大腸上皮におけるp18-Ragulator-Rag複合体の生理機能の解析を行い、以下の成果を得た。1)p18やRagの制御因子Gator1などの欠損細胞などを用いた遺伝学的解析より、Ragulator-Rag複合体のユニークな構造がアミノ酸に依存したmTORC1の活性制御に必須であることを証明した。2)細胞および分子レベルでの情報に基づいて、アミノ酸によるRagulator-Rag複合体およびmTORC1の活性調節機構の数理モデルの構築を試みた。領域内での共同研究により基本的なモデルの構築が終了し、それに基づいたシミュレーションを進めている。3)大腸上皮細胞をターゲットにしたp18 KOマウスの解析より、p18欠損によるmTORC1の不活性化により、大腸のゴブレット細胞の発達、特に腸粘膜の主要成分であるムチンの産生が著しく低下することが見出された。またこの現象を大腸オルガノイドでのin vitroの系でも再現することに成功し、ムチン産生におけるmTORC1シグナルの重要性を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件)
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