公募研究
これまでの検討で、背側縫線核セロトニン神経の活動を抑制した際に従来のモデルベース的意思決定測定法ではモデルベース的意思決定の抑制傾向が見られたが、運動量の増加、衝動的行動の増加などの変化も見られたため、解釈が困難であった。この問題に取り組むために、応募者は二種類の報酬を用いた新たな行動課題、2-選択モデルベース的意思決定測定課題(2-choice)を考案した。平成31年度はこの2-choice課題を用いて①中枢セロトニン神経活動によるモデルベース的意思決定制御について確証を得ること、②セロトニン神経支配を受けるどの脳部位がモデルベース的意思決定に関与しているかを特定すること、を目的としていた。目的①については運動量の増加、衝動的行動の増加などの可能性を排除して評価することに成功し、背側縫線核セロトニン神経の活動がモデルベース的意思決定に必要であることを示した。しかし、目的①の成果をまとめた論文を投稿した際に、査読者から実験のコントロールをより厳密に取る必要があるとの指摘を受けた。特に遺伝子改変動物を用いているため、生まれながらにして特殊なタンパク質を発現していることが動物の成長過程に影響を与え、それによって今回の差が見られている可能性を排除するように求められた。この重要な指摘に応えるためには、これまでに行った実験と同等量の実験を少々条件変更を行った上で実施する必要がある。そのため、目的②を保留として、目的①の成果をより確実にすることを進めた。既に指摘された点の一部については予備的結果を得ている。
2: おおむね順調に進展している
2つあった目的のうち、1つは達成できている。もう一つの目的に関しては、論文投稿の状況を鑑みて保留にしていることから、全体的に見ておおむね順調であると考えた。
当初の計画を変更し、論文査読者の指摘に応えるための実験に注力する。それらの実験が完了次第、当初の計画の遂行に移る。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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