研究領域 | 人工知能と脳科学の対照と融合 |
研究課題/領域番号 |
19H04984
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 人工知能 / ウイルスベクター / 解剖学 |
研究実績の概要 |
本研究では、独自に開発したウイルスベクターを用いた逆行性越シナプス的多重トレーシング法と、同法に順行性トレーシングを併用する入出力解析法などの先端的回路解析法により、前頭前野が皮質下領域や小脳と形成する行動選択ネットワークの構築様式を明らかにするための研究を行なっている。今年度は、研究代表者らがこれまで開発してきた、蛍光タンパク質を発現する高発現型狂犬病ウイルス(RV)ベクターを、運動前野、前頭前野背外側部、眼窩前頭皮質、および前頭極へ注入し、二次・三次ニューロンとしてラベルされる大脳基底核や小脳のニューロンの分布を解析した。また、2種類の異なる蛍光タンパク質をそれぞれ発現する感染伝播速度低下型・高発現型狂犬病ウイルス(RV)ベクターを開発し、別の2種類の異なる蛍光タンパク質をそれぞれ発現する超高発現型アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの同時2領域注入による、皮質―基底核ループにおける線条体への入出力解析法の開発を実施した。後者では、同時注入により超高発現型AAVベクターの発現が減弱することが確認されたため、これを克服するための更なるベクター開発を実施した。本研究ではさらに、スライドスキャナによる画像撮像および自動ラベルデータ生成と、プロット修正用プログラムを利用して逆向性ラベルを半自動的に解析する手法を確立し、上記解析に利用することで、多くの画像とラベルデータの組み合わせからなるデータセットを作製した。今後領域内共同研究により、これらのデータセットを用いたトレーニングによって、画像からラベルデータを出力する機械学習プログラムを開発する。また、ラベルデータの3次元化の為に、小動物用MRIを利用した薄切前脳のex vivo MRI構造画像の取得と、薄切中の断面画像を自動的に撮像するシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究の目的および実施計画欄に記載した、高発現型狂犬病ウイルス(RV)ベクターを利用した前頭葉各領域への大脳基底核・小脳からの入力の越シナプス的トレーシング、および超高発現型アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを併用した利用した皮質―基底核ループにおける線条体への入出力解析法の開発について、一部想定外の想定外の結果が生じ追加の開発が必要となったもののおおむね順調に進行していると考えられ、成果の一部について論文準備中である。今後追加の注入を実施し解析を進める。また、逆向性ラベルの半自動的解析法の開発についても順調に進展しており、今後効率と精度を高めると共に機械学習プログラムを利用した全自動化に発展させる。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展していると考えられるため、今後も当初予定に従い、まずこれまでに実施した注入実験のサンプルに対し、開発した半自動的逆行性ラベルをさらに改良して適用することで効率的に解析を進める。また、追加の前頭前野注入実験を実施すると共に、感染伝播速度をさらに低下させた高発現型現型狂犬病ウイルス(RV)ベクターを開発し、皮質―基底核ループにおける線条体への入出力解析法を確立して適用する。また、¥逆行性ラベルを半自動的に解析する手法をに関しては前年度に引き続き改良を行なって、精度と利便性を向上すると共に、得られた画像とラベルデータの組み合わせからなるデータセットを利用して、領域内共同研究により、画像からラベルデータを出力する機械学習プログラムを開発する。また、薄切前脳のex vivo MRI構造画像や薄切中の断面画像を利用して、3次元多重ラベルデータを作製する解析パイプラインの構築を試みる。
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