研究領域 | 人工知能と脳科学の対照と融合 |
研究課題/領域番号 |
19H04987
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松本 英之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50511383)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | システム神経科学 / 電気生理学 / 光遺伝学 / ラット / 人工知能 / 並列情報処理 / 行動選択 |
研究実績の概要 |
未来を予測して行動を選択し、その選択の結果に基づいてより良い予測を学習することの繰り返しが、適切な行動選択、意思決定の実現に重要であると考えられている。中脳ドーパミン細胞の活動が表す報酬予測誤差信号が、人工知能の強化学習で使われる強化信号に類似することから、報酬に基づく価値意思決定の神経回路機構の理解は著しく進んだ。一方で近年の研究から、ドーパミン細胞にはさまざまな多様性があることが明らかになっている。このことから、ドーパミン細胞はこれまで考えられていた以上に多様で広範な学習に関与している可能性が考えられる。近年、経験を通じて構築される環境の内部モデルが、外部入力とともにドーパミン細胞において統合されることを示す結果が報告されている。本研究は、ドーパミン系のもつ多様性のうち、投射神経回路の違いと環境依存的な信号モードの修飾に着目し、これらの多様性が適切な意思決定の実現にどのように関与しているのか明らかにすることを目的とした。 本年度は、動物が報酬環境の構造に基づいて報酬最大化の行動選択を行う際のドーパミン信号について調べるため、電気生理学と光遺伝学を組み合わせてドーパミン細胞のスパイク発火活動を計測した。試行ブロック毎に選択行動とその報酬価値の関係を変えると、動物は基本的には試行錯誤の学習を通して直接大きな報酬に結びつくポートを選択するように行動をバイアスさせた。一方、ブロックの状態や遷移に応じて、動物は直接大きな報酬には結びつかないがトータルの報酬が大きくなる行動を選択する傾向を示した。現在、経時的な選択肢の価値の変化とドーパミン細胞の神経活動データの関連を解析しつつ、追加のデータを取得中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光遺伝学と電気生理学を組み合わせた融合技術を認知行動課題を行いながら自由に動き回るラットに適用することは、一般的に難易度が高い。申請者はすでに、電気生理学と光遺伝学の融合技術を自由行動課題中の動物に適用し、シリコンプローブ多点電極を用いた大規模神経活動同時計測と光遺伝学を用いたドーパミン細胞の活性化によるニューロン種の同定、および投射先の同定に成功している。また、記録データから半自動的にスパイクソーティング・クラスタリングする手法、そのデータから特定の細胞種を同定する解析手法も確立している状況にある。現在、これまでに得たデータの解析と、追加のデータ取得を行っており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに取得したデータの解析、および追加のデータの取得を行う。行動課題のトレーニングに長期の時間がかかるため、トレーニングの最適化を引き続き行う。
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