研究領域 | 人工知能と脳科学の対照と融合 |
研究課題/領域番号 |
19H04998
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
山下 祐一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第七部, 室長 (40584131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 計算論的精神医学 / 深層学習 / ニューラルネットワーク / 精神疾患 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、安静時機能的磁気共鳴画像(rsfMRI) データを高解像度(voxel-based)・階層性・非線形性を伴いながら、深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いて解析する技術を用いて、(1)脳活動の個人特徴や認知的特性を反映しうる汎用特徴量抽出技術の開発を行い、(2)開発した汎用特徴量抽出技術を健常者から統合失調症、発達障害を含む精神疾患を対象として適用し、rsfMRIデータから患者個々人の診断・疾患予後・治療反応性予測などを総合的に評価する、精神疾患の評価法開発を探索的に検討した。 初年度はまず、申請者らがこれまでに開発した高解像度(voxel-based)のrsfMRIデータをDNNで解析する技術を用いて、脳活動の個人特徴や認知的特性を反映しうる汎用特徴量抽出技術の開発を試みる。実験には、健常者と統合失調症患者100人分以上のrsfMRIデータが登録されているCOBREなどの公開データベースから取得するデータを用いた。DNNとして、自然画像からの特徴量抽出に一般的に用いられる畳み込みネットワーク(CNN)をMRI画像用に最適化したものを用いた。CNNに、rsfMRIの各フレーム(一般的なrsfMRIは10-15分間の撮像時間に対して100-200フレームのMRI画像で構成される)のオリジナル画像(約15万次元)を入力し、出力として"入力画像が誰のものであるか"という個人識別をするよう学習を行った。実験の結果、学習では経験していない未知のサンプル被験者の脳活動(つまり複数のフレーム画像で構成されるrsfMRI画像)を、一人の個人に由来すると認識した上で、学習で経験した人の特徴の組み合わせとして表現できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らが開発した高解像度(voxel-based)のrsfMRIデータをDNNで解析する技術を用いて、脳活動の個人特徴や認知的特性を反映しうる汎用特徴量抽出技術の開発を試みた。具体的には、CNNに、rsfMRIの各フレーム(一般的なrsfMRIは10-15分間の撮像時間に対して100-200フレームのMRI画像で構成される)のオリジナル画像(約15万次元)を入力し、出力として"入力画像が誰のものであるか"という個人識別をするよう学習を行った。結果として、学習では経験していないサンプル被験者の脳活動(つまり複数のフレーム画像で構成されるrsfMRI画像)を、一人の個人に由来すると認識した上で、学習した人の特徴の組み合わせとして表現できることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
開発した個人識別CNNによって抽出した特徴量と精神疾患の臨床情報との関係を検証することで、個人識別以上の有効性を持つことを検証する。COBREデータセットには統合失調症患者のデータが含まれるため、本研究では、統合失調症の診断予測を行う。従来の機能的結合解析に基づく特徴量との比較を行うことで、提案手法が、従来手法と同等以上の有効性を持つことを確認する。
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