研究領域 | 「意志動力学(ウィルダイナミクス)の創成と推進」に関する総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05006
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
櫻井 勝康 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (70507920)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 性行動 |
研究実績の概要 |
意志力は目標達成に必要不可欠な力である。目標達成の原動力は、その結果得ることができる報酬であると考えられる。すなわち、脳内報酬系の理解は、意志力向上のための基盤となる。性行動は様々な生物・動物が行う本能行動である。そして性行動の原動力は性欲である。性欲はオーガズムによって満たされる。すなわち、性行動の報酬とはオーガズムに達することによって得られる快楽であると考えられる。オーガズムの正体とは?オーガズムは主観的な表現である。これまでにヒトのオーガズムに関わる脳領域の同定が、陽電子放射断層撮影や磁気共鳴機能画像法によって行われている。これらの研究結果では、様々な脳領域の活動がオーガズムに達するときに上昇することが示されている。しかし、これらの脳領域の神経活動上昇とオーガズムとの直接的な因果関係は明らかにされていない。 申請者らは、マウスの性行動の動画解析を行った。その結果、雄マウスは射精後に数十秒程度の不動状態を示すことを見出した。そして、この不動状態が雄マウスのオーガズム様の表現型であるという仮説をたてた。さらに、この不動状態時には、痛みに対する応答性が低下していることを新たに見出した。脳内報酬系の中心的な役割を果たす因子であるドーパミンの変化を、ファイバーフォトメトリー法を用いて測定、解析した。その結果、雄マウスの射精時には一時的に顕著なドーパミン放出が引き起こされることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雄マウスの性行動の詳細な行動解析がほぼ終了している。また、性行動におけるドーパミン放出のダイナミックな変化をファイバーフォトメトリー法で計測し、その解析も順調に進んでいる。さらに、当初の計画になかった痛みに対する応答性の変化を見出し、そのメカニズムを明らかにしようとしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、性行動中の脳波の変化を測定、解析する。これにより、性行動中、オーガズム時の脳の活動状態を明らかにできることが期待される。また、組織学的手法をもちいて、オーガズムに関与する脳領域を網羅的に探索する予定である。
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