公募研究
本研究では、ヨーガや武道など伝統的訓練法の核をなす呼吸法をマウスが実行できるシステムにより、呼吸法が意志力に与える影響を解析し、意志力の調節モデルを確立することを目的としている。本研究では動物の呼吸数をモニタし、呼吸の速度に応じた環境刺激を動物にフィードバックループで与えることで人為的に設定した呼吸速度に訓練するシステムを立ち上げ、このシステムを活用し野生型マウスの呼吸リズム操作を行った。自律的に調節される呼吸をマウスで調節することはこれまで困難であったが本研究計画はそれを克服するアイディアを含んでいる。この呼吸法マウスモデルはこれまでにない全く新しい動物モデルであり実現に成功すればこれまで神秘とされていた東洋の伝統的精神訓練法の神経メカニズムを明らかにする端緒となる。この訓練システムはフィードバック刺激を用いたオペラント条件付けであり、訓練を受けたマウスの呼吸リズムはフィードバック回路がONの状態ではOFFの場合に比べて有意にリズムが低速になっていた。今後はこの訓練が行動様式にどのような影響を与えるか検討を行うとともに呼吸訓練システムの改良に取り組む。これまでは呼吸の計測に密閉式のチャンバーを用いていたが、この方式だと生理的な指標の記録が難しいという問題があった。そこで今後は鼻腔内にセンサーを留置して呼吸リズムを計測できるシステムを立ち上げ、活用する。この方式であれば呼吸計測や呼吸リズム訓練時に脳波や神経細胞のカルシウムイメージングなどを同時に行うことができる。
2: おおむね順調に進展している
密閉式のチャンバーを用いてマウスの呼吸計測とその情報に基づいたフィードバックシステムを活用し、これまで難しいと考えられていたマウスの呼吸の制御に成功した。今後、訓練に用いる各種パラメータの最適化などは必要であるが、マウスの呼吸を自律的に調整できることを示すことができた意義は大きいと考えられる。以上の理由により、本研究は順調に進展していると言える。
これまでに密閉式のチャンバーを用いてマウスの呼吸計測とその情報に基づいたフィードバックシステムを活用し、これまで難しいと考えられていたマウスの呼吸の制御に成功した。今後はこの訓練が行動様式にどのような影響を与えるか検討を行うとともに呼吸訓練システムの改良に取り組む。これまでは呼吸の計測に密閉式のチャンバーを用いていたが、この方式だと生理的な指標の記録が難しいという問題があった。来年度は鼻腔内にセンサーを留置して呼吸リズムを計測できるシステムを立ち上げる。この方式であれば呼吸計測や呼吸リズム訓練時に脳波や神経細胞のカルシウムイメージングなどを同時に行うことができる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 3件)
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