公募研究
本研究では、マウスがランニング・ホイール(RW)を好んで回転させる特性に着目し、運動に対するモチベーションの形成、維持機構を細胞・シナプスレベルから動物個体レベルで明らかにすることを目指す。本年度は以下の成果を得た。昨年度の検討から、セロトニン(5-HT)の2Cおよび2Aアンタゴニスト全身投与によってRW回転数は減少し、一方、1Aアンタゴニストによって回転数が増加することを見出しており、また、これらの作用は運動機能全般の低下あるいは上昇によらないことを確認している。そこで本年度は,これらの受容体アンタゴニストのうち、2C受容体アンタゴニストの作用部位を検討した。RW回転に伴い側坐核(NAc)において神経活動が上昇することから、NAcに2C受容体アンタゴニストを局所投与したところ、運動機能に影響を与えることなく、RW回転数を減少させることを見出した。そこで次に、NAc神経細胞の活動を抑制性DREADDを用いて抑制したところ、RW回転数が減少する傾向が認められた。さらに、インビトロスライス標本においてNAc中型有棘細胞からホールセルパッチクランプ記録を行ったところ、2Cアゴニストのバス適用により、神経活動が上昇する傾向が観察された。また、RW回転を行ったマウスのNAcニューロンからホールセル記録を行ったところ、腹側被蓋野に投射すると考えられるニューロンにおいてシナプス可塑性が誘導される可能性を示すデータが得られた。以上の結果より、RW回転運動に対するモチベーションにはNAcでの5-HT遊離によるNAcニューロンの活性化、および、NAcニューロンの可塑的変化が関与することが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: in press ページ: in press
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