公募研究
「意志力」は自己をコントロールし、難局を打開するのに必要な力である。我々は、オレキシン神経の活性化は報酬獲得に対するモチベーションの増加(諦めない行動)や確率逆転学習の成功率の低下に関わることを見つけ、自己コントロールにおけるオレキシン神経系の機能的役割を行動学的に実証した。しかし、①意志力検証実験中オレキシン神経は活性化しているのか、②課題遂行中のどのタイミングのオレキシン神経活動が、課題成功率にかかわるのかは不明である。本研究では、光遺伝学的手法を導入し、オレキシン神経活動の測定と、操作した時の意志力行動への影響を検討した。タッチスクリーン式弁別試験を用いて、意志力による自己コントロールにおけるオレキシン神経の機能的役割について検討した。昨年度は、progressive ratio試験においてオレキシン神経を脱落させると、有意なやる気行動の低下が認められたが、メチルフェニデートを投与すると、緩解する傾向があることが分かった。今年度は無線式ファイバーフォトメトリーを導入して、報酬獲得行動におけるオレキシン神経活動を測定した。Orexin-Creラットの視床下部にAAV-FLEX-GCaMPを感染させ、オレキシン神経特異的にカルシウムセンサーを発現させ、蛍光強度を測定することで、神経活動の指標とした。その結果、オレキシン神経活動は報酬獲得行動時に増加することを見つけた。さらにその増加は餌を食べることで低下する可能性も見つけた。このことから、オレキシン神経は摂食行動というよりかは食欲行動に関係する可能性が示唆された。今後は例数を追加していきたいと考えている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Molecular Brain
巻: 14 ページ: 21
10.1186/s13041-021-00735-4.
Neurochemistry International
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