研究領域 | 「意志動力学(ウィルダイナミクス)の創成と推進」に関する総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科, 講師 (40710786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オレキシン受容体 / 分子イメージング / PET / SPECT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,オレキシン系と意志力との関連を明らかにすることにある.脳内におけるオレキシン系の働きを明らかにするには,オレキシンニューロンおよび OX1R,OX2Rをそれぞれ個別に可視化することが求められることから,オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)それぞれに選択的な分子イメージングプローブの開発研究を行った. 1) OX1R選択的PET用プローブ 前期の研究に引き続き,F-18を標識核種とするテトラヒドロイソキノリン(THIQ)誘導体の合成と評価を行った.その結果,THIQ誘導体は生体イメージングを行う上ではさらなる改善が必要であると考えられたため,ベンゾフランおよびキノリン誘導体を母核とした新規PETプローブ(RCF1およびRCF2) を設計・合成し,その有用性を評価した.その結果,RCF1はOX2R受容体高発現細胞に比べOX1R高発現細胞に対して高い放射能集積が認められ,オレキシン受容体デュアルアンタゴニストを添加したところ,その集積は有意に低下した.また,正常マウスにおいて,RCF1は投与2分後において脳への移行性(5.01および6.92% ID/g)を示し,正常マウスを用いたPET撮像においても脳内への集積を認めた.以上の結果より[18F]RCF1がOX1Rを標的としたPET用イメージングプローブとして基礎的性質を有していることが示された. 2) OX2R選択的PET用プローブ OX2Rに関しては前期に引き続き,ジアリルニコチンアミド(DAN)誘導体の合成と評価を行った.その結果,DAN誘導体は生体イメージングを行う上ではさらなる改善が必要であると考えられたため,トリアゾール誘導体を母核とした新規PET/SPECTプローブを設計した.現在1化合物の合成が完了しており、親和性および体内動態評価およびの新規化合物の合成を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得た成果に関して論文報告できたこと,新たな母核をもつPET/SPECTプローブの合成に成功し,そのうち一部の化合物に関しては,オレキシン受容体に対して親和性を示したため.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度に見出した母核を用いた更なる最適化研究を行い,見出した有用な化合物に関してマウスを用いた生体イメージングを実施する予定である.
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