研究領域 | 都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05033
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
足立 拓朗 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90276006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 考古学 / 銅石器時代 / 新石器時代 / 遊牧民 / 都市化 / 先史時代交易 |
研究実績の概要 |
6月にポーランドのクラクフにおける国際学会でサウジアラビア北西部の新石器時代の貝製品交易についての研究発表を行った。9月にはヨルダン南部で銅石器時代の集落遺跡(ハラート・ジュハイラ遺跡)の発掘調査を行った。新たに3件の銅石器時代住居跡を調査できた。その結果、同遺跡の集落規模を確定することができた。また12月にはサウジアラビア北西部で銅石器時代の祭祀遺跡(ワディ・グバイ遺跡)の発掘調査を行った。新たに数十件の祭祀遺構を発見したほか、大型の円塔墓の発掘調査も実施できた。またネコ科動物を捕獲するための特殊な罠遺構を検出した。本研究の目的と必ずしも一致する成果ではないが、この種の遺構の検出は珍しく、大きな成果と言える。ただ、今年度はヨルダン、サウジアラビア共に遺物の出土数が少なかったのが、残念であった。 本年度には、2本の英文論考を海外研究誌に投稿した。1本は、ポーランド、ヤギウオ大学の研究紀要であるStudies in Ancient Art and Civilizationであり、6月のクラクフでの研究を発展させた内容である。レヴァント南部の貝製品の出土状況を俯瞰し、新石器時代の交易ネットワークについて論じた。もう1本はヨルダン考古総局の研究紀要のStudies in the History and Archaeology of Jordanであり、その内容は銅石器時代のスプーン形土製品の機能を推定したものであった。日常的な機能に加えて祭祀的な機能が存在する可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発掘調査は順調に進んでおり、研究論文は2本海外の研究誌に投稿しており、概ね順調と言える。計画以上に進展と述べたいところでもあるが、親族の発病により調査期間の短縮を余儀なくされ、計画していたヨルダン東部のバーイル地域の踏査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(ヨルダン調査) バーイル地区を踏査し、前期青銅器時代の立石遺構群の位置をGPSにより把握する。また、これまで金沢大学がヨルダンで調査した遺跡から 出土遺物の調査・研究を行う。 (サウジアラビア調査) ワディ・グバイ遺跡において銅石器時代の集落遺跡の踏査、試掘調査を行う。また、これまで金沢大学がサウジアラビアで調査した遺跡から 出土した貝製品の生物学的・文化財科学的な調査・研究を行 う。 (ヨルダン、サウジアラビアで調査ができない場合) 両国に入国できない場合は、すでに実測が終了しているハラート・ジュハイラ遺跡の遺物研究を実施する。
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