研究領域 | ハイドロジェノミクス:高次水素機能による革新的材料・デバイス・反応プロセスの創成 |
研究課題/領域番号 |
19H05060
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
犬飼 宗弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (60537124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 固体NMR / 二酸化炭素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、水素機能を有する固体材料中の活性水素の位置・運動、そして固体材料の構造・運動と水素機能の相関を原子レベルで分析できる計測方法の開発することである。目的を達成するために、昨年度は、幅広いガス圧力下でのin-situ高分解能固体NMR装置の開発を行い、デモンストレーションとして多孔性材料中の二酸化炭素の運動解析を行った。 具体的に、高分解能固体NMRの手法をして広く使用されているマジック核試料回転(Magic Angle Spinning: MAS) NMRに着眼し、高圧ガス(3 MPa)の密封、そしてMAS NMRを可能とする特殊試料管を開発した。開発した装置を用いて、二酸化炭素の分離・吸着材料として期待されているmetal organic framework/porous coordination polymer (MOFs/PCPs)内部に吸着させた高圧二酸化炭素の運動を解析した。MAS NMRにより、MOF-5とMOF-74に0.2-2.1 MPaの二酸化炭素のスペクトルを得た。得られたスペクトルの緩和時間解析により、細孔内部の二酸化炭素の圧力と運動性の相関を明らかにした。また、試料管内に水素ガスの密封、およびMAS NMR計測にも成功している。今後は、新学術コミュニティで開発された水素機能材料に対して、ガス雰囲気下のMAS NMR計測を行っていく予定である。 同時に、誘導加熱を利用した高温MAS NMR 法の開発も行った。7 Tの超電導磁石内部で、40 kHzで微小な金属を封入している試料を回転させた。金属の形状や回転周波数を変えながら、試料の温度測定を行った。結果、数kHzの試料回転で誘導加熱による100℃の温度上昇が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高圧ガス雰囲気下の高分解能固体NMR装置の開発は順調に進んでいる。ルーチン測定に対応できるような自動サンプリングシステムの構築なども完了した。一方、高温環境下での1H 高分解能固体NMR装置の開発は、高温化と高速試料回転の両立が困難であり、あまり進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
高温環境下での1H 高分解能固体NMR装置の開発は、当初のアイデアである誘導加熱の利用をやめ、マイクロ波による加熱を試みる。NMR共振器の中に、誘電体共振器を埋め込み、マイクロ波照射をすることで、高速回転試料管の加熱を試みる。
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