研究実績の概要 |
(1) ALMA cycle 6における230 GHz観測からG353.273+0.641のFace-on円盤内の2本腕を完全に空間分解した。また動径方向の平均輝度温度プロファイルをダスト温度と光学的厚みの冪乗関数でフィッティングし、柱密度から求めた渦状腕部分の円盤質量は3太陽質量となり、これは中心星の30%に相当する。誤差は13パーセントであり、これはMotogi et al. (2019)において150 GHzの低分解能観測で決定した値(2-7太陽質量)と誤差の範囲で一致しており、かつ大幅に精度が向上した。今回得られた中心星に対する円盤質量比は、理論的に予想される渦状腕を伴う重力不安定円盤として妥当である。また実際に不安定度の目安となるToomreのQ値は渦状腕内で0.5-1.0, それ以外で1.5-2.5となった。渦状腕内部では分裂の閾値とされる0.6(Takahashi et al. 2016)と同程度であったことから、Motogi et al. (2019)の予想通り円盤が分裂中であることが示唆される。 (2)またCO 2-1輝線により非対称な分子ガスジェットが空間分解された。COジェットの根元はMotogi et al. (2016)における水メーザージェットの先端に接続しており、速度も一致することから中心100 auスケールで加速された分子ガスジェットがそのまま3500 auまで伸びていることがわかった。13CO同位体の輝線から決定した光学的厚みから求めた質量放出率(1年で1太陽質量の1%程度)はMotogi et al.(2019)で求めたエンベロープ降着率の20 %程度であり、大降着率で原始星が成長していることが確かめられた。
|