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2019 年度 実績報告書

偏波観測で探るダストの成長課程

公募研究

研究領域新しい星形成論によるパラダイムシフト:銀河系におけるハビタブル惑星系の開拓史解明
研究課題/領域番号 19H05088
研究機関国立天文台

研究代表者

片岡 章雅  国立天文台, 科学研究部, 助教 (70749308)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 偏光 / 電波観測
研究実績の概要

惑星は、原始惑星系円盤と呼ばれるガス円盤の中で、ダストと呼ばれる固体微粒子が付着成長することで形成される。その中で我々は、近年急速に発展している原始惑星系円盤のミリ波偏光観測を用いたダスト成長の制限を行ってきた。

これまでの研究において、原始惑星系円盤のミリ波偏光のメカニズムは、散乱成分と整列したダストによる直接放射の2つが提案されていた。この存在は、原始惑星系円盤HL Tauの多波長観測によって確認されており、短波長側の波長0.9mmでは散乱が支配的である一方、長波長側の3.1mmでは整列が支配的であるということが指摘されていた。これに対して我々は、整列が支配的であるとされている3.1mmのデータについて、散乱成分も含まれているのではないかと仮設を立て、詳細なモデリングを行った。その結果、輻射輸送計算と空間分解されたHL Tau 3.1 mmの偏光パターンを比較したところ、散乱成分と整列成分がおおよそ半々程度に含まれているモデルが最も整合的であることがわかった。本成果はThe Astrophysical Journalにて出版された(Mori and Kataoka, 2021, ApJ, 908, 153)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、原始惑星系円盤の偏光観測について輻射輸送モデリングを行うことで、散乱成分と整列成分を分離することができた。今結果は1天体に対してだけの結果であるが、手法は一般的であり、今後他の天体へも応用可能であることを示している。論文の出版も行われた。研究会等はコロナ禍でオンライン化が進んだが、その中でも国際オンライン研究会や外国の研究室セミナー等での発表を重ねた。順調に成果が出ていると行って良い。

今後の研究の推進方策

今後は、本研究によって明らかとなった偏光観測結果の散乱・整列成分の分離を、他の天体にも適応する。この結果は惑星形成にも強い示唆を与える。従来の結果では、長波長3.1 mmには散乱成分はないとされ、その強い波長依存性からダストサイズは100ミクロン程度と予測されていた。これは、これまでの他の研究結果であるミリメートルサイズよりも小さく、惑星形成そのものをより困難にしていた。それに対し本研究は、実は散乱成分は3.1 mmでも強かったことを示唆しており、ミリメートルダストによっても偏光を説明できるかもしれない可能性を示している。そのため、本モデリングを進めることで、惑星形成の要であるダストの付着成長を強く観測的に制限することへとつながると期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Modeling of the ALMA HL Tau Polarization by Mixture of Grain Alignment and Self-scattering2021

    • 著者名/発表者名
      Mori, Tomohiro and Kataoka, Akimasa
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 908 ページ: 153

    • DOI

      10.3847/1538-4357/abd08a

    • 査読あり
  • [学会発表] polarization in disks2020

    • 著者名/発表者名
      Akimasa Kataoka
    • 学会等名
      Five years after HL Tau: a new era in planet formation
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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