高エネルギー領域で持ちうるニュートリノの相互作用のうち、最も有望なものはバリオン数とレプトン数の差(B-L)をゲージ化した模型である。これまでの研究で、電弱スケールよりずっと高いエネルギーでのエクストラU(1)対称性の強い一次相転移によって誘起される宇宙背景重力波が、そのゲージ結合定数がおよそ0.3程度の場合には、DECIGO や Cosmic Explorer 等の将来の重力波検出実験によって検出可能であることも明らかにしてきた。このようなエクストラU(1)対称性の存在を理論的に支持しているのは大統一理論である。右巻きニュートリノの相互作用がゲージ化されている場合の最も素朴な大統一理論は、ゲージ群 SO(10) に基づくものである。しかしながら、標準模型のゲージ群にB-Lゲージ対称を素朴に加えただけでは、ゲージ結合定数の高エネルギースケールが一致しない。この問題を解決するため、標準模型のゲージ郡を一旦 SU(5) に統一し、その SU(5)がエクストラU(1)とゲージ統一される可能性を考察した。研究では、ゲージ結合定数の統一がベクトルライククォーク対を導入により達成される模型を考え繰り込み群を解いて大統一すること、及び、SO(10) の破れから現れるエクストラ U(1) 対称性のゲージ結合定数が対称性の破れのスケールにおいて実際に 0.3程度となり一次相転移による破れによって生成される宇宙背景重力波が検出可能なほど大振幅になり得ることを示した。
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