研究実績の概要 |
湯川結合するHiggsとして10表現と126+126bar 表現のHiggsを導入した、ミニマルな繰り込み可能 SO(10) GUTは、ゲージ結合を統一するのみならず、Y_10, Y_126という2種類の湯川結合だけから標準模型湯川結合を正しく導出でき、かつ、シーソー機構を自動的に含むので、ニュートリノ極微質量も正しく説明できる。一方、SUSY GUTを探る有効なプローブはdimension-5 proton decayだが、そのpartial widthは「SUSY particle mass」に大きく依存してしまうため、現状では予言できない。しかし、異なるモードのpartial widthの「比」は予言できる可能性がある。そこで、ミニマル繰り込み可能 SUSY SO(10) GUTにおいて、p → K^0 mu^+とp → K^+ bar{nu}_muのpartial widthの比の予言を行なった。(後者のbar{nu}_muはbar{nu}_tau と区別できないため、予言は、partial widthの比の最大値の予言とみなせる。)数値解析をおこなった結果、0.05 < Γ(p → K^0 mu^+)/Γ(p → K^+ bar{nu}_mu) <0.6が多くの場合に成り立つことを示した。比 Γ(p → K^0 mu^+) / Γ(p → K^+ bar{nu}_mu) が O(0.1)まで大きくなるということは、両モードを共に発見できる可能性がある。 さらに注目すべきは、ミニマル SU(5) GUTでは、Γ(p → K^0 mu^+) / Γ(p → K^+ bar{nu}_mu)が0.002以下になることが概算できるので、両モードを探索することは、「ミニマル繰り込み可能 SO(10)とミニマル SU(5)の判別」に使えることがわかった。 また、SUSY SO(10)のdim-6 OPによる陽子崩壊に対する一般的な予言が得られないか調べ、GUTゲージボソンの質量スペクトルを解析し、陽子寿命がSU(5)よりも短くなることを示した。
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