本研究は、超伝導検出器とレーザーを用いた微細加工を施した金属標的を接続し、ニュートリノ物理学の新展開を狙うことを目的とする。金属として、レニウムを用いると、そのベータ崩壊のスペクトル測定によりニュートリノの絶対質量を測定可能である。また、インジウムを用いると、電子ニュートリノ事象を曖昧さなしに検出可能である。 本研究では非熱的フォノンの検出に実績を持つ超伝導検出器の再評価を行った。超伝導検出器は産総研のCRAVITYで制作した。非熱的フォノンを検出する部分を持つ力学的インダクタンス検出器を新たにデザインし、作製・評価を行ったところ90%以上の歩留まりを達成した。次に検出器素子の感度部分(Al薄膜でできている)にインジウムを接続することを試みた。まずは、インジウムボールをのせて直接溶かす手法を試みたが、Alとの濡れ程度が悪く、うまく接続できなかった。そこで、金の薄膜を塗布し、インジウムを溶かしたところアマルガムに近い状態となりうまく濡れて、感度部分全体にインジウムがいきわたった。次に、前年度に作製したフォノンの集光と超伝導検出器への接続を兼ねるコーン状のインジウムを接続する手法の開発に移った。微細加工部品のハンドリングを扱う企業と検討した。インジウムボールを超伝導検出器に載せてボンディングする手法、押し付ける手法等多様な方式を試したが、コーンの接続の成功には至らなかった。コロナ禍の影響で、研究打ち合わせが思うようにできず開発のスケジュールが遅れた。一方で時間が空くことにより、コーンと超伝導検出器を接続する新たなアイディアが浮かんだ。その手法は、2021年度の科研費の研究に受け継がれた。 本研究では、2020年度に超伝導検出器の開発報告などで、3件の学会講演をした。
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