研究領域 | ミルフィーユ構造の材料科学-新強化原理に基づく次世代構造材料の創製- |
研究課題/領域番号 |
19H05121
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中田 伸生 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (50380580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | キンク変形 / ラメラ組織 / 鉄基合金 / 相変態 / 力学特性 |
研究実績の概要 |
4種類の鉄基層状組織を有した試料を作製した.具体的には,(1)通常のフェライト(α)とセメンタイトから成るFe-C系のパーライト,(2)置換型合金元素Mnの分配を伴ったFe-C-Mn系の分配パーライト,(3)合金炭化物の結晶構造が変化したFe-C-Cr系のステンレスパーライト,そして,(4)母相をオーステナイト(γ)に変化させたFe-C-Cr系のδ-パーライトの作製を試みた.とくに本年度は,ラメラ配向を容易に整除できると予想されるδ-パーライトの作製ならびに組織評価に関する実験を優先させた.Fe-18%Cr合金(フェライト系ステンレス鋼)をδ域である1273KにてグラファイトとNa2CO3(促進剤)を用いた固体浸炭処理に供することで,δ→γ+合金炭化物の共析変態が誘起され,これによって浸炭深さ方向に成長した層状組織の形成を確認した.ついで,保持温度(773K~1373K)ならびに保持時間(1.8ks~36ks)を種々変化させることで,層状組織の形成過程を詳細に観察した.さらに,グロー放電発光分析装置(GD-OES)を用いたCプロファイルの測定,熱力学計算ソフトをによるCポテンシャルなどの熱力学掲載に加えて,CならびにCrの拡散に関する速度論を考慮することでにδ-パーライトの形成機構を明らかにした.これにより,ラメラの配向のみならず,相間隔や相比をある程度任意に制御できる組織制御指針を確立した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた実験を遂行しており,予想された結果が得られているため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度作製した試料を含めて,鉄基層状組織を有した種々の試料を用いて力学試験を実施する.そして,本申請課題の目的である,キンク形成の発現条件について検討を行う.
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