研究領域 | ミルフィーユ構造の材料科学-新強化原理に基づく次世代構造材料の創製- |
研究課題/領域番号 |
19H05133
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
眞山 剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (40333629)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミルフィーユ構造 / 格子ひずみ / 不均一変形 / 結晶塑性解析 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
2019年度は,(i)長周期積層(LPSO)構造単相材の一方向凝固(DS)材を想定した格子ひずみ解析,(ii)Mg-Zn-Y合金多結晶体を想定した格子ひずみ解析,(iii)格子ひずみ発現機構解明のために数結晶からなる多結晶体中の局所領域を想定した解析モデルを用いた格子ひずみ解析,の3項目を実施した.各項目の具体的な実施内容は下記のとおりである. 【LPSO-DS材の格子ひずみ解析】研究代表者がこれまでに整備してきた結晶塑性有限要素法による格子ひずみ解析手法をLPSO-DS材の圧縮変形に適用するため,SEM/EBSD観察像に基づき三次元構造を模擬した解析モデルを構築する.ここで,結晶粒界の表現力が異なるボクセルメッシュとフリーメッシュの双方で多結晶構造モデルを作成した.さらに構築した解析モデルを用いた系統的な数値解析を実施し,キンクモードの不均質変形等に起因する格子ひずみの発達について調査する.また,解析結果に及ぼす有限要素メッシュの影響についても確認した. 【Mg-Zn-Y合金多結晶体の格子ひずみ解析】次年度に実施するMg-Zn-Y合金多結晶体の格子ひずみ解析の準備として,SEM/EBSD観察像およびXRD等による回折試験結果に基づく多結晶体の解析モデルを構築した.本研究では鋳造材と押出材の両方を対象とするため,加工度により異なる集合組織を反映した複相マグネシウム合金の解析モデルを構築した. 【格子ひずみ発現機構の解明】格子ひずみ発現機構に関する基礎研究として,LPSO 構造単相材数結晶からなる多結晶体中の局所領域を想定した解析モデルを用いた系統的な数値解析を実施した.また,構成材料の結晶方位関係と負荷方位が格子ひずみ発達に及ぼす影響を網羅的に評価することにより,粒間相互作用と粒内不均一変形に起因する格子ひずみ発現機構を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,(i)長周期積層(LPSO)構造単相材の一方向凝固(DS)材を想定した格子ひずみ解析,(ii)Mg-Zn-Y合金多結晶体を想定した格子ひずみ解析,(iii)格子ひずみ発現機構解明のために数結晶からなる多結晶体中の局所領域を想定した解析モデルを用いた格子ひずみ解析,の3項目を実施したため.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,(i)長周期積層(LPSO)構造単相材の一方向凝固(DS)材を想定した格子ひずみ解析,(ii)Mg-Zn-Y合金多結晶体を想定した格子ひずみ解析,(iii)ミルフィーユ構造材を想定した格子ひずみ解析,(iv)格子ひずみ発現機構解明のための数結晶からなる解析モデルを用いた格子ひずみ解析を実施する.各項目の具体的な実施内容は下記のとおりである. 【LPSO-DS材の格子ひずみ解析】昨年度に引続き,LPSO-DS材モデルを用いた系統的な格子ひずみ解析を実施し,不均質変形と格子ひずみ発達の関係を明らかにする. 【Mg-Zn-Y合金多結晶体の格子ひずみ解析】昨年度に構築したMg-Zn-Y合金多結晶体モデルを用いた格子ひずみ解析を実施し,多結晶体中のLPSO相における不均一変形と格子ひずみ発達の関係を調査する.初期集合組織やLPSO体積分率の影響を系統的な数値解析に基づき明らかにする. 【ミルフィーユ構造材の格子ひずみ解析】微細な硬質相が分散したミルフィーユ構造材における格子ひずみ解析を実施するため,観察像に基づく解析モデルを構築する.さらに構築された解析モデルを用いたパラメータスタディを実施し,ミルフィーユ構造における不均一変形とその結果発達し得る格子ひずみに関して調査する. 【格子ひずみ発現機構の解明】昨年度に引続き,格子ひずみ発現機構に関する基礎研究として,LPSO 構造単相材を数結晶含む材料を想定した解析モデルを用いた系統的な数値解析を実施すると共に,複相材における格子ひずみ発現機構を解明するために数結晶からなる複相材モデルを用いて,異相界面の影響について調査する.
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