公募研究
ハドロン間相互作用は原子核などのハドロン多体系研究の基盤である。ところが核子を除くハドロンは全て不安定であり、散乱実験の標的にできない。我々は高エネルギー核反応からの様々なハドロン対(ΛΛ、pΩ-、pK-、pΞ-)の運動量相関を用いて相互作用を議論してきた。運動量相関は相対波動関数の2乗と粒子源関数の積分で与えられるため、後者が既知ならば前者から相互作用の情報が得られるのである。2020年度にはK^{bar}N(反K中間子-核子)-πΣ-πΛ結合チャネル効果を取り入れた相関関数の計算プログラムを完成し、pK-相関関数を求め、LHC-ALICE collaborationにより観測されたpp(陽子-陽子)衝突からの相関関数データと比較することにより、カイラル動力学によるK^{bar}N相互作用の検証を行った。またΛ(1405)がK^{bar}N束縛状態としての性質を持つか否かを判別する上で、源関数サイズが異なるpA (陽子-原子核), AA (原子核-原子核)反応での相関関数が有用であることを議論し、予言値を与えた。この研究成果は Phys. Rev. Lett. にて出版されている。ここで開発した理論手法は、結合チャネル・クーロンポテンシャル・しきい値のズレの効果を初めて全て取り入れて相関関数の計算を実現したものであり、新規性が高く、また適用範囲が広い。この枠組みを用いて強い相互作用の第一原理計算である格子QCDに基づいてHAL QCD collaborationによって求められたNΞ-ΛΛ結合チャネルポテンシャルを用いた相関関数の計算も行っており、現在論文を準備中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
Prog. Theor. Exp. Phys.
巻: 2021 ページ: 023B09
10.1093/ptep/ptaa172
Phys. Rev. Lett.
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10.1103/PhysRevLett.124.132501
巻: 2020 ページ: 053D03 (1-19)
10.1093/ptep/ptaa058
巻: 2020 ページ: 063D01 (1-17)
10.1093/ptep/ptaa047
Phys. Rev. C
巻: 102 ページ: 021901(R)(1-6)
10.1103/PhysRevC.102.021901
Prog. Theory. Exp. Phys.
巻: 2020 ページ: 123J01 (1-20)
10.1093/ptep/ptaa148
Phys. Rev. D
巻: 102 ページ: 114503 (1-11)
10.1103/PhysRevD.102.114503
JPS Conf. Proc.
巻: 32 ページ: 010067(1-4)
10.7566/JPSCP.32.010067
巻: 32 ページ: 010081(1-4)
10.7566/JPSCP.32.010081
Proc. of the 18th International Conference on Hadron Spectroscopy and Structure (HADRON2019)
巻: - ページ: 656-660
10.1142/9789811219313_0112